欧州の危機を何度もくぐり抜けた古参たちは、今月中旬から既視感にさいなまれた。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は国民議会(下院)の解散・総選挙に踏み切った。これを受け、欧州の株式は売られ、共通通貨ユーロは下落した。最も不吉なことに、フランス国債の利回りが急上昇し、ドイツ国債とのスプレッド(利回り差)は2017年以来の高水準に達した。
その理由は、マリーヌ・ルペン氏率いる欧州連合(EU)懐疑派の極右政党「国民連合(NR)」が欧州議会選挙でマクロン氏の中道与党連合に大勝した結果、国内でも第1党となり、極右政権が誕生することが懸念されるためだ(ただ結果はどうあれ、マクロン氏は2027年まで大統領の座にとどまり、外交・防衛政策を担う)。