インド総選挙、モディ首相のBJP過半数割れ
欧州選挙では右派・極右に20%超える支持
6月4日に一斉開票された世界最大の民主主義国インドの下院選挙は、モディ首相を支える与党第一党BJP(インド人民党)を中心とする与党連合(NDA)は過半数を維持したものの、BJPは議席を240と大幅に減らし過半数を割り込んだ。
順調な経済成長などを背景に、BJP単独で370議席、NDA全体で400議席確保を目指していたが、予期に反し思わぬ結果になった。
成長率は高いものの格差が拡大し、低所得者層などのインフレと失業への不満が大きいことや、モディ首相の強権的なアプローチへの反発が期待するほどの勝利を収められなかった理由だろう。
6日から9日に投票が行われた欧州議会選挙でもマリー・ルペン氏が率いる国民連合などの右派・極右の台頭が顕著だ。EU(欧州連合)統合支持派はいまだ安定的な多数を占めるが、現体制の下でのEU統合やリベラルな環境政策に反対する右派・極右が予想以上に支持を拡大し、20%を超える議席数を確保した。国民連合の台頭に危機意識を持つマクロン仏大統領は安定した政治基盤の確立を目指して議会選挙の実施を決めたが、思惑通りになるかどうかは分からない。
7月4日に総選挙が予定される英国でも、スナク首相率いる保守党は、直近の世論調査では、支持率が労働党に大きく水をあけられただけでなく、右派ポピュリスト政党の方が上回っている。
共通するのは、既成の政治体制に対する反発が予想以上に強いことだ。
今後の米国大統領選挙や年内に予想される日本の総選挙でも同様の傾向が出てくるかもしれない。