フランスの高級ブランドグループ、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンの傘下ブランド「クリスチャン・ディオール」は、価格2600ユーロ(約45万円)のハンドバッグを1個当たりわずか53ユーロで縫製するサプライヤーをうまいこと見つけた。だが、一見「成功」とも思えるこの取引はブランドの評判低下を招く。それを払拭するための代償は安くないかもしれない。イタリア・ミラノの裁判所はディオールとイタリアの高級ブランド「ジョルジオ・アルマーニ」を名指しし、両ブランドの製品が同国内の「搾取工場」のような労働環境で生産されていたと指摘した。イタリアにおける高級ブランドのサプライチェーン(供給網)を巡っては、当局が捜査を進めていた。高級バッグを作る散らかった施設など、捜索現場の風景は業界が顧客に宣伝するブランドのイメージとは全く異なっていた。