当地にある公園でロシア政府と敵対する人物を殺害した罪で有罪判決を受けた同国の殺し屋で元情報部員のワジム・クラシコフ氏は、終身刑に服していたドイツの刑務所で看守にこう言った。「私が刑務所で朽ち果てるようなことをロシア連邦は許さないだろう」同氏が自慢げに語った予想は8月1日に現実のものとなった。冷戦後で最大規模となる身柄交換の一環で、クラシコフ氏はドイツ当局によって釈放され、ロシア側に引き渡された。スパイ罪に問われ、7月に不当な有罪判決を受けたウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のエバン・ゲルシコビッチ記者もこの身柄交換で釈放された。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は自ら、クラシコフ氏の帰国を求めていた。プーチン氏にとって、この暗殺者の釈放は二重のメッセージを伝えるものとなる。一つは、ロシア政府はたとえ敵対者が西側に逃げ込んだとしても、その人物を見つけ出して捕まえるというメッセージ。もう一つは、プーチン政権に忠実であり続ける者は見捨てないというメッセージだ。