「今度クライアントと会食するから、『いい感じの店』探しといて！」
このような指令を上司から受けることがある。しかし、「いい感じ」という言葉はとても抽象的で、店選びの軸としてはあまり役に立たない。結局、なんとなくレビューが高い店を選んでみたものの、相手にあまり喜んでもらえなかった…往々にしてこのような結末になりがちだ。「会食が苦手だ」と感じている人も少なくないだろう。
そこで今回は、新刊『ビジネス会食 完全攻略マニュアル』の著者で、大手広告代理店時代に最大28回／月の会食を経験した会食専門家・yuuu氏に、会食で「なるべく避けた方がいい料理」を伺った。（聞き手／『頭のいい人が話す前に考えていること』の著者 安達裕哉氏、構成／ダイヤモンド社 根本隼）
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日程調整を後回しにしてはいけない
――前回は、会食専門家のyuuuさんに、「会食の目的」を設定する重要性を解説していただきました。次のステップの「日程調整」について、本書では「1秒たりとも寝かせるな」と書いてありましたが、これはどういう意味でしょうか？
yuuu 日程調整はとても面倒な作業なので、誰しも後回しにしがちです。しかし、これに着手しないと、それ以降のお店選びや予約といったプロセスもどんどん後ろ倒しになっていきます。
そうすると、会食のキーパーソンの予定が先に埋まってしまい、そもそも会食設定すらできなくなることもあります。だからこそ、会食の日程調整は「1秒も寝かさずに即動く」ことが大事なんです。
――なるほど。とはいっても、返事が遅い人がいると、日程がなかなか決まらないですよね。
yuuu そうなんです。なので、個人的には、日程調整のメールを送ってから1日経っても返事が来ない人がいたら、電話をかけた方がいいと思っています。
そこで遠慮して催促を控えると、他の人のスケジュールも確定できずに迷惑をかけてしまうからです。
――そこはある種の強引さが必要なんですね。
yuuu その通りです。日程調整が長引くと、クライアントや自社の上役が満足するようないい店が取れなくなってしまうので、リーダーシップが必要なんです。人気店は2～3週間前じゃないと予約が取れませんからね。
会食のときに“なるべく避けた方がいい料理”とは？
――「いい店」というお話が出ましたが、私もお店選びで苦労することが多いです。仕事よりも難易度が高いとすら思っているのですが、会食専門家のyuuuさんはお店をリサーチするうえでの「チェックリスト」を本の中でご紹介されていましたね。
yuuu そうですね。お店選びで参加者とのミスマッチが生まれないように、事前に網羅しておくべきチェックリストを作りました。
チェックリスト内の「必須情報」は、お店を決めるにあたって確実に把握しておくべき情報で、特に「参加者全員のアレルギー・苦手なもの」は絶対に外してはいけません。
「希望情報」というのは、クライアントにより喜んでもらえるお店を選ぶために必要な情報と考えていただければと思います。
――ちなみに、本書には「隠れ苦手食材」に留意が必要と書いてありましたが、これはどういうことでしょうか。
yuuu 「隠れ苦手食材」とは、「好き好んで食べないけれども、わざわざ他者に伝えるほどでもない」食材のことで、たとえばホルモン・レバー・牡蠣・パクチー・ナンプラーなどです。
これらは、アレルギーでないかぎりはあまり明示されませんが、テーブルに出てきたときに「実はあんまり好きじゃないんだよね」と言われやすいんです。
――そうなると、基本的にはそうした「隠れ苦手食材」が含まれる料理が出るお店は選ばない方がいいんでしょうか？
yuuu そうですね。もつ料理・焼きとん・タイ料理などは、「全員が好き」という情報をつかんでいないかぎりは、避けた方が無難だと思います。
――他に避けた方がいい料理はありますか？
yuuu 鍋料理は「同じ釜の飯を食う」感覚で、相手との仲を深める効果もありますが、会が盛り上がってきたときに直箸で取る人が出てくるリスクがあります。性別や年代など、ゲストの属性しだいでは要注意ですね。
――お話を聞いていると、お店選びはかなり熟練のスキルが必要そうですね。
yuuu ある程度の場数が必要だとは思います。ちなみに本書では、「珠玉の会食店・困ったときのハズさない店リスト」を特典でご紹介しています。会食店だけで350店舗以上載せていて、いいお店を見つけたら随時更新しています。
ゲストの情報がある程度集まった段階でこのリストをご覧いただくと、スムーズに会食設定ができるかなと思います。
（本稿は、『ビジネス会食 完全攻略マニュアル』の著者で、会食専門家のyuuu氏へのインタビューをもとに構成しました）
会食専門家・幹事研修講師
京都大学大学院修了後、新卒で大手広告代理店に入社。百戦錬磨の会食猛者達に揉まれ、最大28回/月の会食を経験。その苦戦苦闘の末に、すべての会食・食事会を誰もが成功に導くことができる、徹底的に実務に即した体系的な会食ノウハウ＝「会食メソッド」を独自に生み出す。
現在は、自らセッティングした会食をきっかけに、念願のスタートアップ企業に就職。転職後も会食を通じて信頼関係を構築した企業から仕事を受けるなど、会食で人生の起点を創り出した。
『ビジネス会食 完全攻略マニュアル』が初の著書。本書特典の「珠玉の会食店/困ったときのハズさない店リスト」は、8年もの期間、ほぼ365日名店巡りを続けてきた記録の集大成。
