ネイサンはほほ笑みました。彼女は美人で、しかも英語を話せる。彼の中で火花がはじけました。「別のバーにうつって、きみの読んでいる本の話を聞かせてくれないかな?」

 2人は韓国で1年間付き合ったあと、セントルイスへいっしょに引っ越しました。その翌年には結婚しました。

出会い方が正しくとも
うまくいかないこともある

 けれども結婚生活は行き詰まりました。「振り返ってみると、警告サインは山ほどあったんだ」とネイサンが教えてくれました。「ぼくたちはまったく違うタイプだった。最初の出会いでさえ、彼女は本を読んでいて、ぼくはただ酔っ払おうとしていた」

書影『史上最も恋愛が難しい時代に 理想のパートナーと出会う方法』(河出書房新社)『史上最も恋愛が難しい時代に 理想のパートナーと出会う方法』(河出書房新社)
ローガン・ウリー著、寺田早紀訳

 特定の話題になると、2人はいつも話を変えました。たとえば、彼は子どもをほしいと思っているけれど、彼女は違うこと。彼女は韓国に戻りたがっているけれど、彼はセントルイスに落ち着くつもりでいること。「最初の火花のせいで、互いの違いを無視していたんだと思う」

 結婚して1年もたたないうちに、2人は自分の不満を無視できなくなりました。

「ぼくらの関係は、“最初のすてきな出会い”に突き動かされていたように感じる」と彼は言いました。「海外で出会ってひと目で恋に落ちる、っていう絵に描いたような物語がなければ結婚していたかわからない。ぼくらは、そのおとぎ話のような出会いにふさわしく生きようとしていただけなんだ」

 出会い方が「正しい」からといって、間違った恋愛を追い求めてはいけません。