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心を読み取る「非言語的メッセージ」

「あの人は、私のことをどう思っているのだろう?」と気になることがあると思います。「好きな人がいてもすぐに告白できない」という人は、「相手の気持ちがわからないから」という理由をよく挙げます。

ということは、告白する前に相手の気持ちがわかれば、告白に踏み切れるということです。そのような相手の好意について見ていきましょう。

人間のコミュニケーションは、「言語的コミュニケーション」と「非言語的コミュニケーション」の2つに分類されます。

「言語的コミュニケーション」とは、言葉そのものの意味、内容などの、言語を通した情報です。「非言語的コミュニケーション」とは、外見、表情、視線、姿勢、動作などの視覚的な情報と、声の調子や声の強弱、声質などの聴覚的情報です。

その人の本心や感情は、「言葉」では表現されなくとも、非言語的に表情や動作に表れます。その非言語メッセージを観察すれば、相手の心理を見抜くことができるのです。

「一瞬のリアクション」で見極めよ

たとえば、好きな人に告白できない理由は、相手の気持ちがわからないから、つまり、断られて傷つくのが怖いからです。

「相手が自分に好意的である」とわかっているならば、告白する踏ん切りがつきますし、逆に「好意がない」とわかったら、諦めもつくでしょう。

好意があるかどうかは、非言語的なメッセージを観察すればいいのです

簡単な方法は、「食事に誘ってみる」ことです。とはいえ、「今度、2人で食事に行きませんか」と聞くのは単刀直入すぎます。

たとえば、次のようなやり取りです。

「近くにイタリア料理の雰囲気のいい店、オープンしたよね?」
「あっ、知ってる」
「友達が行ったらしいんだけど、かなり本格的でおいしいんだって!」

その後のリアクションに注目しましょう。

「え、行きたい!」と返ってきたら脈ありですが、「へぇ、そうなんだ」と、テンション低めに返ってきたら、あまり好意はないようです。

相手の気持ちは、「最初のリアクション」のテンションでわかります。そのテンションがあなたへの「好意度」です。「あなたと行きたい」と思えばテンションは上がるし、「行きたくない」と思ったら、テンションは下がります。その一瞬を観察するだけで、相手があなたのことを「好きかそうでないか」はハッキリします。

それだけでは、非言語的情報が不十分な場合は、「今週、暇だから、行ってみようと思うんだけど」とさらに言葉を続けるといいでしょう。

「ちょっと予定が入っているから」「みんなも誘って行こうよ」などと返ってきたら2人きりはNGのサインです

大切なのは、「誘った直後のリアクション」です。「一緒に食事に行かない?」と言った直後。0.1秒後にどんな表情をするのかがポイントです。

その一瞬で、嬉しそうだったか、困った顔だったか。これは、「扁桃体」の本能的な判断なので、理性でコントロールすることは困難です。もし、一瞬だけ嬉しい表情が見えたけど、冷静な表情になったなら、「すぐ喜ぶのは恥ずかしい」と大脳皮質で考えて、表情をコントロールした証拠です。そこに1秒ほどの時差が生じます。

扁桃体による「素のリアクション」をごまかすのは、訓練された人でないと難しいことです。人間は、どうしても感情が顔に表れてしまうのです。

「私のこと好き? 嫌い?」好意があるかどうかをコッソリ見抜く方法Photo by Adobe Stock

相手の言い方や表情にすべてが表れます。本当は行きたいけど断っているのか、あなたにまったく気がないのか。一瞬の表情から見抜きましょう

本当に予定があって行けないけど好意がある場合は、「来週の土曜日なら空いているんだけど」と代案が示されるはずです。

「食事」がOKで、「告白」がNGなことはもちろんありえますが、「食事」がNGで、「告白」がOKなことは普通ありえません。相手の好意を確かめるのに、「食事に誘う」は使えます。

ダメだった場合の対処法

食事に誘ってポジティブなサインがなかった場合でも、すぐに諦める必要はありません。相手との心理的距離を縮め、好意度を高める方法はあります。

「1対1」が無理であっても、3人以上のグループならハードルが下がるでしょう。それでもいいので、プライベートな時間に会う回数を増やしましょう。「ザイオンス効果」という心理法則があります。それは「何度も会うほどに親密度は高まる」という効果です。相手と会って話す機会を、1回でも増やすことが、あなたに対する好意度アップに役立ちます。

また、二度、三度と誘ってみて、ようやくOKがもらえる場合もあります。相手は、あなたが本気かどうか試していたり、「一度でOKして、軽い人に見られたくない」という心理なのです。

さらに成功率を高めるためには、「相手の好きな料理のお店」を選んだり、夜ではなく「昼の食事やイベント」を設定するようにしましょう。

最近の若い人では、LINEなどのメッセージで誘うかもしれませんが、対面で直接誘ったほうが効果的です。「LINEだと誘いやすい」というのは、逆から見ると、「LINEだと断りやすい」ということでもあります

それに、LINEだと、相手の「表情」「テンション」「ノリ」などの非言語メッセージが読めないので、間違った判断をする確率が高まります。

樺沢紫苑(かばさわ・しおん)
精神科医、作家
1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴのイリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。「情報発信を通してメンタル疾患、自殺を予防する」をビジョンとし、YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動している。
最新刊は『精神科医が教える ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社)。シリーズ70万部の大ベストセラーとなった著書『学びを結果に変えるアウトプット大全』『学び効率が最大化するインプット大全』(サンクチュアリ出版)をはじめ、16万部『読んだら忘れない読書術』(サンマーク出版)、10万部『神・時間術』(大和書房)など、30冊以上の著書がある。

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