正解:J社を買ってよい

J社はROE20%、営業利益率21%の高収益企業

 企業の収益力が高いか低いか判断する際、ROE営業利益率を計算してください。

J社のROE(簡便法)
=純利益÷自己資本×100
=10÷50×100
=20%

J社の営業利益率
=営業利益÷売上収益×100
=15÷70×100
=約21%

 ROE20%、営業利益率21%は、かなり高い水準と言えます。

 日本企業は、欧米企業に比べると、ROEがあまり高くありません。

 8~10%あれば、高いほうです。20%もあれば、すばらしい。

のれん・無形資産が大きいが、収益力が高ければ問題なし

 J社は、資産の半分近くが目に見えない「のれんや無形資産」。目に見える有形固定資産より、目に見えない価値をたくさん保有しています。

 近年は、ネット産業やバイオ産業などでJ社のように目に見えない価値で稼ぐ企業が増えています。

 たとえば、GAFAM(グーグル、アップル、メタ、アマゾン、マイクロソフト)など巨大テック企業は、有形固定資産をあまり持たず、目に見えない技術力やブランド力、顧客基盤、インフラ支配力で稼いでいます。

 のれんとは、企業買収で発生する、目に見えない「超過収益力の源泉」のことです。

 自己資本50億円(時価ベース)の企業を、80億円で買収したとします。買収金額と自己資本の差額(80億円-50億円=30億円)は、バランスシート上、無形資産または「のれん」として計上されます。

 ただし、損益計算書を1期だけ見てもわからないので、「回答不能」と判断した方も正解です。

 5年分くらい見ないと安定的に収益を稼いでいるかわからない、と考えた方もいるかもしれません。その通りです。

(本稿は、『株トレ ファンダメンタルズ編』から抜粋・編集したものです。)