株式投資をする人にぜひ読んで欲しい1冊が『株トレ――世界一楽しい「一問一答」株の教科書』だ。クイズを解きながら「株のトレードで勝つ技術」を身につける画期的な1冊だ。著者は、ファンドマネジャー歴25年、2000億円超を運用してTOPIXを大幅に上回る好実績をあげたスペシャリストの楽天証券・窪田真之氏。何万回にも及ぶ膨大な数のトレードから確立した「トレードで勝つ技術」を1冊に凝縮した本書から、特別に一部を抜粋して紹介する。

株で稼ぐ人は知っている「株の正しい買い時・売り時」Photo: Adobe Stock

空売りとは?

 信用取引の一種で、保有しない株を売ることを「空売り」と言います。

 空売りした後、株価が下がったところで、買い戻すと利益が出ます。たとえば、1000円で空売りした株を、800円まで値下がりしたところで買い戻すと、200円の利益が出ます。

 ただし、空売りした後、株が値上がりしてから買い戻すと、損失が発生します。たとえば、1000円で空売りした株が1200円まで値上がりしたところで買い戻すと、200円の損失が出ます。

 空売りに使う株は、証券会社などから借ります。借りてきた株を売っているわけですから、必ずどこかで買い戻す必要があります。買い戻したら、貸してくれた証券会社などに株を返済します。

これだけは覚えておこう!

信用倍率が1倍を切っている銘柄(空売りが多い)
→株価上昇が継続
→空売りしている投機筋が耐えられなくて買い戻しする可能性
→「踏み上げ」をねらって「買い」を入れるのが有効なことも

 初心者の方にもわかるように、順を追って説明します。

(1)信用取引残高とは?

 信用取引で行われた「信用買い残高」と「信用売り残高」があります。たとえば、2021年9月24日時点のソフトバンクグループの信用残は以下の通りです。

2021年9月24日時点のソフトバンクグループの信用残2021年9月24日時点のソフトバンクグループの信用残

(2)信用買い残高とは?

 信用買い残高とは、短期的な値上がりで儲けようとしているポジションです。

 信用買いをしている投資家は、短期的に株価が上昇した時に売って決済することを狙っています。制度信用では最長でも6ヵ月以内に決済しなければならないという期限があります。

 つまり、信用買い残高=将来の「売り」需要

(3)信用売り残高とは?

 信用売り残高とは、短期的な値下がりで儲けようとしているポジションです。

 信用売りしている投資家は、短期的に株価が下落した時に買い戻して利益を得ることを狙っています。

 つまり、信用売り残高=将来の「買い」需要

(4)信用倍率から、売り買いのバランスを見る

〈信用倍率〉=〈信用買い残高〉÷〈信用売り残高〉

 信用倍率は通常3-4倍を中心に推移しています。つまり、信用売り残高よりも信用買い残高のほうが3-4倍多いのが普通です。

東証1部の信用倍率推移 : 2015年1月-2021年9月 (参考)東証1部の信用倍率推移:2015年1月-2021年9月

(5)信用倍率が高すぎる場合 投機筋の買いが積み上がり

 信用倍率10倍以上は、信用買い残高がかなり積み上がった状態です。

 先のソフトバンクグループの約11倍は、投機的な買いが積み上がり、潜在的な売り需要が大きい状態です。

(6)信用倍率1倍割れは、取り組み妙味

 信用倍率が1割を割ると、信用買いよりも信用売りが多い状態です。つまり、投機筋が空売りを積み上げた状態です。

 その状態で、株価が継続的に上昇している場合は、踏み上げ(空売り買い戻しでさらに株価が上がること)が起こる可能性があることから、取り組み妙味がある(買ってみて面白い)と言われます。

ソフトバンクグループの2020年の株価と信用倍率ソフトバンクグループの2020年の株価と信用倍率

 上のグラフはソフトバンクグループの2020年の株価と信用倍率の推移です。4月から7月まで、信用倍率が1倍を割っています。信用売り残高が積み上がった状態です。その間、株価が大きく上昇しています。ここで踏み上げが起こっています。

(本稿は、『株トレ――世界一楽しい「一問一答」株の教科書』から抜粋・編集したものです。)