秋冬は、髪や頭皮のトラブルが起きやすい季節です。頭皮にフケやかゆみが出たり、薄毛になったり…気になる症状を改善するために真っ先にすべきこととは?ジャーナリストの笹井恵里子さんが吉木伸子医師に聞きました。(よしき銀座クリニック院長 吉木伸子、構成/ジャーナリスト 笹井恵里子)

頭皮のかゆみやフケのトラブルが
秋冬に起こりやすい理由

 秋冬は、髪や頭皮のトラブルが起きやすいです。

 あなたは頭皮にかゆみがあったり、フケが出たりという症状に悩んでいないでしょうか。その症状の大半は「脂漏(しろう)性皮膚炎」とよばれる皮膚の病気(炎症)です。脂漏性皮膚炎は表皮の免疫バランスが崩れ、雑菌が繁殖して炎症を起こしたもの。頭皮の深部に炎症が及び、毛根周囲にも炎症が起きると、毛の発育が阻害されて薄毛になることも……。季節の変わり目や秋に悪化することが多いのです。

髪を洗いすぎている人が
近年増えている

よしき銀座クリニック院長・吉木伸子よしき銀座クリニック院長・吉木伸子

 私は開業医として25年近く、さまざまな皮膚疾患を治療してきましたが、近年「髪の洗いすぎ」によって頭皮が乾燥している人が増えている印象です。洋服を何度も洗濯すれば傷むように、毎日シャンプーを使って髪を洗うと、人によっては頭皮が乾燥し、フケの原因になることがあります。

 毎日洗わないと気が済まない、かゆいと感じる人は、頭皮のターンオーバー(皮膚が生まれ変わるサイクル)が正常より早くなっている可能性が高いです。

 頭皮も顔も、皮膚の基本構造は基本的に同じなので、どちらも数週間単位でターンオーバーをしています。つまり新しい皮膚が生まれて、表皮から角質になり、最終的に「あか」となってはがれ落ちる。洗いすぎると必要以上に角質をとってしまうことになり、そこを修復するためにターンオーバーが早まってしまうのです。

 ターンオーバーが早いというと何だか良さそうに感じるかもしれませんが、ターンオーバーの異常な促進は、常に皮膚の表面が未成熟な角質細胞で覆われているということ。はがれやすくなってフケの発生につながってしまいます。不潔と思って余計に洗うと、さらに状態が悪化するでしょう。洗いすぎ→地肌が乾燥→かゆみが起きる→かゆいからまた洗うという悪循環に陥っているのです。

 フケやかゆみを予防改善するための、髪を洗う頻度や洗い方、乾かし方、頭皮のケアについてお話しする前に、まず脂漏性皮膚炎についてご説明しましょう。