東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの運営企業は、チケットの値上げや有料オプションを導入するたび、「追加投資でリゾートの価値が上がった」と説明してきました。「テーマパーク内インフレ」は、なぜ起きているのでしょうか?運営企業が過去最高益を見込む背景には、「課金文化」の後押しもありそうです。(明治大学経営学部兼任講師 中島恵)
アプリで効率化も、感想は「複雑…!」
チケットは1万円超に値上げ
最初に断言しましょう。東京ディズニーリゾートは一昔前よりもずっとシステムが複雑化しています。事前にしっかり調べておかないと、希望のアトラクションやパレードをほとんど体験できない恐れすらあるのです。
東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは、長い待ち時間と混雑問題を抜本的に解決すべく、2018年7月にスマホのアプリを導入しました。そして特にコロナショック以降、アプリにログインし、希望するアトラクションやレストランを予約する仕組みに大きく舵を切っています。
1デーパスポートは時期や曜日によって異なる価格変動制になり、大人7900~1万900円、中高生は6600~9000円、幼児・小学生は4700~5600円に値上がりしました。人気アトラクションは抽選かつ課金する必要があります。有料ファストパス(通常よりも短い待ち時間で乗れる仕組み)は現在、「ディズニー・プレミアアクセス」(略してDPA)と呼ばれ、1500~2500円します。
アトラクションにほとんど乗れず、ショーやパレードを見やすい場所で見られず、希望するレストランで食べられなかったとなると、ゲストには強い不満が残ります。「ディズニーのプロ」のような人がより効率よく楽しめ、「たまに行くシロート」はあまりの複雑さと料金の高さに唖然としているのが実態です。