「あなたの職場は、なんでもかんでもルールを重んじていませんか?」
そう語るのは、これまでに400以上の企業や自治体等で組織変革の支援をしてきた沢渡あまねさん。その活動のなかで、「人が辞めていく職場」に共通する時代遅れな文化や慣習があると気づきました。
それを指摘したのが、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』。社員、取引先、お客様をうんざりさせる「時代遅れな文化」を指摘し、現場から変えていく具体策を紹介。「まさにうちの会社のことだ!!」「これって、おかしいことだったの!?」と、多数の反響があり話題に。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「組織体質の古さを測る5つの質問」を紹介します。
組織の体質が現れる「10の項目」
本書において、著者は以下の定義づけをしている。
・時代の流れや価値観に合っているモダンな組織=文化度が高い
そしてレガシーな体質の組織を「統制管理型組織」、モダンな体質の組織を「オープン型組織」と呼称している。
では、それぞれの組織はいかなる場面において、どのようにレガシーまたはモダンな体質を持っているのだろう。ここまで言語化してようやく、その正体が見えてくる。そこで本書では、10の項目における体質に焦点を当てて、それがレガシーかモダンかを判断していく。
この記事では、組織の文化度が現れる体質その1「行動様式の体質」について、概要を解説しよう。
「行動様式」の体質
レガシー=「ルール」の遵守を重んじて、例外は認めない
モダン=「ビジョンやゴール」を大切にして臨機応変に判断する
統制管理型の組織における行動様式の体質は、ルール遵守が絶対である。例外は認めず、ルールに則ることを前提として、あらゆる物事が思考、判断される。
たとえばリモートワークを提案しても「どのようなメリット・デメリットがあるか」「どうすれば実践できるか」といった議論がなされることなく、「出社がルールだから」の一言で片付けられてしまう。
しかしときには、ルールを守ることが目的になってしまい、本質を見失ってしまうこともある。これまでのルールや規則が実態に則しているとは限らず、それが成長や成功へのネックになっている場合もある。
それに変化が激しい現代では、答えのない問いに向き合う場合、誰も正解を持っていないことも多々ある。どんなに入念に立てた計画も、時代や環境の変化とともに合理性を失う。そのような環境下において、既存のルールは非合理どころか足かせになる場合もある。
一方でオープン型の組織は、ルールを絶対のものとして捉えない。ビジョンやゴールを重視し、状況あるいはチームやメンバー(いわゆる部下)のコンディションによってルールを柔軟に変える。
「行動様式の体質」の
文化度を測定する5つの質問
自社の「行動様式の体質」がレガシーかモダンか、気になる人は以下の5つの質問に答えてみてほしい。
「当てはまる」が多い人は、組織の体質改善に一歩踏み出したほうがいかもしれない。
繰り返すが、統制管理型がダメで、オープン型が良いと言うつもりはない。
10の項目と照らし合わせながら、自組織や自チームの体質を振り返り、それぞれの良い部分を取り入れる前向きな議論をしてほしい。
統制管理型組織のレガシーなやり方から、オープン型「も」尊重し取り入れたハイブリッドかつモダンなスタイルに進化していこう。
(本稿は、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)
作家/企業顧問/ワークスタイル&組織開発/『組織変革Lab』『あいしずHR』『越境学習の聖地・浜松』主宰/あまねキャリア株式会社CEO/株式会社NOKIOO顧問/プロティアン・キャリア協会アンバサダー/DX白書2023有識者委員。日産自動車、NTTデータなどを経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。『チームの生産性をあげる。』(ダイヤモンド社)、『職場の問題地図』(技術評論社)、『「推される部署」になろう』(インプレス)など著書多数。