職場には「常に怒っている人」と「常に感謝している人」がいる。
この差は、一体、何だろう? どうしたら前者は後者に変わるのか?
今、ビジネスパーソンから経営者まで数多くの相談を受けている“悩み「解消」のスペシャリスト”、北の達人コーポレーション社長・木下勝寿氏の自己啓発書『「悩まない人」の考え方 ── 1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』が話題となっている。
ここ20年以上悩んでいない」という著者を直撃。本稿では悩みやすい年始に役立つ「悩まない人の思考法」をお届けする(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)。

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常に「怒っている人」と「感謝している人」の特徴

 職場には「常に怒っている人」がいる一方で、「常に感謝している人」もいます。

 この差はなぜ生まれるのでしょうか。

 今回は、「常に怒っている人」がどうしたら「常に感謝している人」に変わるのかを見ていこうと思います。

 たとえば、職場のネット環境で通信障害が起きたとします。
 この場合、通信技術への知識について、「常に怒っている人」はほぼなく、「常に感謝している人」は「ある程度ある」ケースが多い。

 技術のサービスに対しては、前者は「お金を払っているんだから完璧なサービスを提供されて当然と思って」いる一方、後者は「システムにおいて完璧なサービスなどないと思って」います。

 サービスへの対価に対しては、前者は「完璧なサービスを提供すべきだ。完璧なサービスを提供できないならお金を返してくれ」と思っている一方、後者は「全顧客から完璧なサービスを求められたら、現状の価格では商品・サービスは提供できないだろう。今の価格でこれだけのサービスを提供してくれていること自体が奇跡。こんなに安い価格で提供してくれてありがとう」と思っています。

 他者の仕事内容を知らないと、他者の仕事が「完璧な状態」を前提としてつき合うため、不満が爆発します。
 まずは、他者の仕事をじっくり観察し、仕事内容を知ることが大切です。

医師の診断、裁判、広告運用のケース

 それぞれのケースを見ていきましょう。

1.「ガンになった。医者に診てもらったのに治らない、ヤブ医者だ!」
 →現在、ガンを完璧に治せる治療法は確立していません。
「治せなかったらお金返せ」と言うなら、自分で他の医者を探すしかありません(受けてくれるところはないと思いますが)。

2.「突然、訴えられた。ある弁護士に頼んだのに裁判で負けた。ダメ弁護士だ!」
 →相手も弁護士に頼んでいますので、この論理で行くと2人に1人はダメ弁護士に当たります。
 裁判で負けたことがない弁護士はほぼいないので、日本中ダメ弁護士だらけになります。そもそも裁判は弁護士だけの力で勝つのではなく、案件次第なところがあります。

3.(運用担当者)「広告の成果が悪くなってきた。ディレクターに良い広告をつくるように依頼したが、成果が出ない。ヘボディレクターだ!」
 →直接ユーザーに接しないまま当たるクリエイティブなどつくれません。
 運用担当者は媒体を通じて直接ユーザーと接しています。
 その数値情報や媒体特性の情報がないと、勘でクリエイティブをつくるしかないので、その方法だと当たる確率の低いクリエイティブしかつくれません。

 ビジネスでは、相手の職種は「何ができて、何ができない仕事か」を明確に理解し、あらかじめリスクヘッジや相互補完することで無用のトラブルを避けましょう

 今回の事例で言えば、下記のように「考え方」を変えていくと、「悩まない人」に少しずつ変わっていくでしょう。

・モバイル通信サービスの通信障害は常に起こりうる。
 だからデュアルSIMのスマホを使う

・医者の診断では、必ずセカンドオピニオンを利用する

・弁護士には任せきりにするのではなく、事前に勝てそうかどうか、勝つためには何が必要かを相談する。同時に、積極的にセカンドオピニオンも活用する

・広告ディレクターには媒体の特性や、媒体の他社事例と反応の数値をもとに「どういう方向のクリエイティブがいいか」を伝えて一緒につくり上げる

「仕事ができて信頼できる人」になるには?

 今回のお題である「常に怒ってしまう人」や「自分のミスに対してすぐに怒ってしまう人」の根源を突き詰めてみると、要するに「知識・情報」不足というケースが圧倒的に多いのです。
 もし職場にそういう部下がいた場合は、まず上記の「悩まない人」の考え方を少しずつシェアしていきながら、どんな人間やサービスにも完璧はない。不完全な世の中でしなやかにしたたかに生きていくこそが「悩まない人」になるコツなのだということを共有していったらいいと思います。

 部下の立場としては、ただ単に知識・情報不足により、仕事ができない人というレッテルをはられないためにも、本書『「悩まない人」の考え方』で触れた、「まず調べる」を徹底するだけで少しずつ「悩まない人」に近づきます。

 そして「悩まない人」は「常に感謝している人」となり職場でも上機嫌。
 行動するとは調べること、を肝に銘じていくと、少しずつ「仕事ができて信頼できる人」になっていくでしょう。

(本稿は『「悩まない人」の考え方──1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』の著者による書き下ろし記事です。)