藤井聡太とスティーブ・ジョブズの「意外な共通点」

高所得と低所得家庭の子どもの
学力差が3分の2に縮小

　この研究では、3年間、同じ子どもたちを4回にわたって調査しました。

　結果、3歳始めのテストで差はありませんでしたが、時間の経過とともに、モンテッソーリ教育を受けた子どもたちは、モンテッソーリ教育以外の学校に通った子どもたちに比べて、学力、他者目線の理解度、グロースマインドセット（しなやかマインドセット＊3）がより高いほか、学校での勉強をより楽しんでいることがわかりました。

　この研究の画期的なところは、モンテッソーリ教育が学力格差に与える効果を調べた点です。

　モンテッソーリ教育を受けた低所得家庭の子どもたちは、モンテッソーリ以外の学校に通った低所得家庭の子どもたちと比べて著しく学力が向上しました。

『親子でできるモンテッソーリ教育とマインドフルネス』（創元社）
島村華子 著

　モンテッソーリ教育を受けた子どもたちだけを対象に調べたところ、高所得と低所得家庭の子どもたちの間に最初にあった学力の差は、研究終了時には3分の2まで縮まりました。

　これに比べて、モンテッソーリ以外の学校に通ったグループでは、高所得家庭の子どもたちが、低所得家庭の子どもたちを学力で圧倒し、その格差は縮まりませんでした。

　また、モンテッソーリ教育を受けた低所得家庭の子どもたちは、3年間たった後、モンテッソーリ教育とそうでない教育をうけた双方の高所得家庭の子どもたちと比べても学力に差がありませんでした。

　こういった研究結果は、モンテッソーリ教育が経済的に不利な立場に生まれた子どもたちをサポートできる可能性を示唆している点でも、非常に興味深いものです。