誰しも悩みや不安は尽きないもの。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日一日がラクになります!
※本稿は『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

悲しみが深いほど、人は強くなる…精神科医が語る“辛い時期の教訓”Photo: Adobe Stock

辛い時期は無駄じゃない
そう言える日が必ず来る理由

今日は、人間どんなに辛い時期を経験しても、それは決して無駄にはならないというお話をしたいと思います。

僕自身も30代半ばから後半にかけて、さまざまな困難に直面し、本当に大変だった時期がありました。しかし、そうした大変な経験があったからこそ、今の自分があると思うのです。

その経験が、僕自身の考え方や哲学に大きな影響を与え、こうして発信する内容にもつながっています。今では、皆さんにお伝えしたいメッセージもより明確になりました。そう考えると、あの辛い時期は無駄ではなかったと感じています。

「運が悪い」と思った日々が
人生の力になる

これは僕個人の話だけではありません。日々、患者さんの悩みや友人・知人の話を聞いていても、多くの人が大変な思いをしています。自分だけが苦しいのではないのだと、改めて気づかされることがあります。

もちろん、辛い状況にいるときには、「なぜこんな目に遭うのだろう」「早く抜け出したい」と思うのは当然です。時には、運の悪さを感じることもあるかもしれません。

けれども、不思議なことに、その辛い時期を乗り越えたときには、そこから得られるものが必ずあると感じます。

それは、辛さに比例するほど、あるいはそれ以上の学びや力をもたらしてくれるものです。人間には、それを糧に変える力が備わっているのです。

あの時期があったから今がある
辛い経験が人生を好転させる

辛い経験を通して、価値観が変わり、新たな視点を持つこともあります。その結果、人生が好転することも少なくありません。

これまで多くの人のそんな変化を目の当たりにしてきたので、人間には本当に素晴らしい可能性があると感じています。

ただ、今まさに辛い時期にある人にとっては、すぐにそう思えないのも当然です。それでも、いつか必ず振り返ったときに「あの時期があったから今の自分がいる」と思える瞬間が訪れます。

ただそこにいるだけでいい
今の自分を否定しないこと

だからこそ、今の自分を否定しないでいただきたいのです。辛い時期があなたの人生に欠かせない意味を持つのだと信じて、まずは、ただその瞬間を受け入れる気持ちでいてください。

その経験が、アナタ自身のエネルギーとなり、未来を形作るものになります。まだ乗り越えられないように感じるかもしれませんが、必ずその時は訪れます。

そして、その経験を通して得た思いが、何かしらのメッセージとしてあなたに届くはずです。

焦らず、ただそこにいる。それだけで十分です。そして、いつか必ず大丈夫になるのだと信じてください。どんな辛い時期も、決して無駄にはならないのです。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。