ドナルド・トランプ氏は、エイブラハム・リンカーン大統領の2期目のような就任演説をするつもりは毛頭なかった(そうした者はこれまで誰もいなかったが)。しかし、第45代米大統領を務め、いまは第47代大統領となったトランプ氏は20日、大半の米国民が歓迎するであろう希望と楽観主義のメッセージを伝えた。これが実際の計画を示しているなら、同氏は4年後に成功した大統領として退任する可能性がある。トランプ氏は出席した要人たちに言及した後、「米国の黄金時代が今まさに始まる」と演説の冒頭で述べ、「この瞬間から米国の衰退は終わる」と強調した。「米国民の大虐殺」という表現を使った2017年の就任演説とは、この上なく対照的だ。2017年の演説では、トランプ氏が大統領に選出されたことへの民主党とメディアの抵抗に対し、それと同じ暗いトーンで応じた。それがその後4年間の憎しみと分断の土台となった。今回の就任演説のトーンとメッセージは、米国が常に偉大であり続けてきたし、新たな試練に立ち向かう中でさらに偉大になるというものだった。この演説は、イーロン・マスク氏の影響が大きく、スティーブ・バノン氏的な要素が大幅に減り、すべてが良い方向に向かっていた。