前途有望なテクノロジーの評価は昔から、イエスかノーかの質問で行われることが多い。きちんと動くか、動かないかといった問いから答えを出そうとする。導入して期待通り成果が出ているか。そのテクノロジーを土台にした製品やサービスは、収益予想を達成しているか、いないか。こうした問いは全て、至極妥当なものだ。ただし今の基礎的なテクノロジーの多くには遅かれ早かれ、明確に「ノー」という答えが出る。印刷機、電化、電話が及ぼした変革のインパクトは、登場したばかりの頃に明らかだったとは言い難い。例えばウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)がのちに報道したように、1980年代には米通信大手AT&Tが携帯電話技術を主に地方のビジネスと判断し、事業として追求しない決定を下した(同社は結局、方針を転換し、1993年に携帯電話事業を買収した)。ゼロックス・パロアルト研究所(PARC)は1970年代にグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)を開発したが、その商業化をリードしたのはスティーブ・ジョブズ氏などの部外者だったことはよく知られている。