「アイデア発想が得意で、チャレンジ精神がある人には、ある共通点があります」
そう語るのは、著書『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』がベストセラーになるなど、メディアにも多数出演する金間大介さん。金沢大学の教授であり、モチベーション研究を専門とし、その知見を活かして企業支援もおこなっています。
その金間さんの新作が『ライバルはいるか?』です。社会人1200人に調査を行い、世界中の論文や研究を調べ、「誰かと競う」ことが人生にもたらす影響を解き明かしました。挑戦する勇気を得られる内容に、「これは名著だ!」「人生のモヤモヤが晴れた!」との声が多数寄せられています。この記事では、本書より一部を抜粋・編集して、「ライバルの恩恵を示す、ある論文」を紹介します。

【論文が証明】イノベーティブでチャレンジ精神がある人に共通する「たった1つの特徴」Photo: Adobe Stock

ライバルの恩恵を示す「論文」

 ライバルがいるから、気持ちが高まる、成長を実感できる、勇気を持って行動に移せる。
 これらの効果は1151人の調査で明らかになったことだが、多くの読者にとっても、どこか共感あるいは納得できる結論であったと思う。

 しかし、人は共感や納得だけでは信じられないときもある。

「それはわかるけど、でも不安……」
 そんな感情だ。

 ここを補ってくれるのが、「科学的な裏付け」という根拠だ。
 ライバルの持つ効果についての研究は、先述の通り世界的に見ても数少ない。

 だが、存在しないわけではない。
 そこで、あらためて著名な論文を参照し、ライバルがもたらす恩恵を紐解いてみよう。

ライバルの存在は創造性や革新性を刺激する

 僕の専門領域に近いところから。イノベーション研究の分野における貴重な報告だ(Federico et al. 2020)。

 この論文では、ライバルがいることで、今までにない新しいアイデアを思いついたり、大切だと思いながらも避けてきたことに挑戦したりするようになる可能性が高まるという。

 その要諦は次の2点に集約される(とくに2点目の結論は、首肯する人も多いかも)。

①新しいアイデアを促進したり、斬新なアプローチを試みたりする

 ライバルがいる人は、新しいアイデアを考案したり、今までにないソリューションを開発したりする。

 かつ、これらを現実の活動や新たな取り組みにつなげたりしようとする。

②停滞を回避する

 ライバルが存在することで、それまで見て見ぬふりをしてきたチャレンジに向き合うようになる。

 また、それが他のメンバーへも好影響をもたらす。

ライバルが「イノベーション」をもたらす

 こういった効果が、結果的に多様なイノベーション活動にポジティブな影響をもたらす。

 言われてみれば当たり前に感じるようなことかもしれないが、ライバルという存在が「イノベーション」という分野でもプラスの効果をもたらすと示したことは、この研究報告が持つ大きな意義だ。

(本稿は、書籍『ライバルはいるか?』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)