トランプ氏と長年の因縁、米政府の不動産管理機関Photo:The Washington Post/gettyimages

 米政府の不動産の多くを所有・管理・賃貸する連邦機関である一般調達局(GSA)は以前、トランプ氏に政府所有の旧郵便局を高級ホテルとして再開発する権利を与えていた。GSAはヒルトンやマリオット・インターナショナルなど大手のホテルチェーンを退け、トランプ氏を選んだ。

 ホテルの開業日にテープカットを行う直前、トランプ氏は少し時間を取ってGSAを称賛した。

「GSAの職員は驚くほどのプロフェッショナル集団だ」と同氏はたたえた。

 それ以降、トランプ氏はGSAとの関係を悪化させている。このため、すでに進行中の連邦政府の不動産ポートフォリオ再編が近く加速する可能性がある。

 GSAは全米の政府建物からなる総面積約3400万平方メートルの巨大なポートフォリオを管理している。だが2023年のGSAの議会証言によると、多くの建物は資金不足で十分な保守管理が行われず、空室もしくは低稼働の状態にある。

 政権移行の作業に詳しい関係者によると、トランプ新政権は、連邦政府のオフィス資産の3分の2を民間セクターに売却することを検討している。

 また、GSAが民間の家主から賃借している650万平方メートルのオフィススペースのうち、約4分の3が解約される可能性が高いと、長年ワシントンで不動産デベロッパーをしているドン・ピーブルス氏は話す。GSAによる契約解除が急増すれば、主要入居者としてGSAを当てにするワシントンの家主の多くが圧迫されることになる。