ドナルド・トランプ氏が2期目の大統領に就任したその日から、世界1、2位の経済大国である米中両国の貿易戦争が再燃するとの懸念が生じていた。米大統領選の遊説中や当選後に中国批判を繰り広げていたためだ。
だが、今週就任したトランプ大統領は追加関税の発動を先送りし、中国の指導者と仕事の話をする用意があると表明し、衝突らしき事態はまだ起きていない。その一方で、貿易やテクノロジー、安全保障といった問題では、中国政府に対して行動を取るとの脅しを繰り返している。
中国にしてみれば「これは極めて前向きなスタートだ」。シンクタンク「中国グローバル化センター(全球化智庫)」の理事長で、中国政府のアドバイザーを務める王輝耀氏はこう述べた。
トランプ氏は連邦政府機関に対し、自身が脅しをかけていたように直ちに関税を課すのではなく、対中経済関係を精査するよう指示した。同氏は、中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」に米国で事業を継続する方法を見いだすための時間をさらに与えることを認めた。
トランプ氏はまた、先週の習近平国家主席との電話会談後、年内に訪中する可能性があると語った。習氏は20日に行われた米大統領就任式に国家副主席を派遣した。これはトランプ氏から招待を受けた後の友好の意思表示とみられている。
一方で、トランプ氏は中国が貿易や気候などの分野で不当な行動に出ているとの主張を繰り返している。また、ウクライナ戦争の終結や合成麻薬「フェンタニル」の米国への流入阻止で中国に一層の協力を求め、2月から中国製品に10%の関税を課す可能性があると警告している。