ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は28日、ホワイトハウスを訪れ、米・ウクライナ間の鉱物資源権益に関する協定を締結する。これはゼレンスキー氏にとって拒否できない取引だった。ただ、ドナルド・トランプ米大統領のいじめのような要求にもかかわらず、この協定によって米国はウクライナの将来に利害関係を持つことになる。ウクライナは多くの点で発展途上国であり、天然資源も十分に開発されていない。同国は欧州最大のウラン供給国、欧州2位の天然ガス供給国であり、リチウムなどレアアース鉱物の埋蔵量が多い。これらの資源は約1兆ドル(約150兆円)の価値があり、資源の約3分の1は同国東部のロシア占領地域にある。トランプ氏は、この戦争中に米国がウクライナに供与した支援の返済分として、こうした資源の権益の分け前を要求している。これは取引を基本とするトランプ氏の世界観を示すものであり、賠償金のようにも感じられる。ただゼレンスキー氏がロシアと確かな「和平」を実現したいのであれば、これに応じる以外に選択肢はほとんどない。ゼレンスキー氏は少なくとも交渉によって、トランプ氏が当初要求していたものよりも有利な条件を勝ち取ることができた。
【社説】ウクライナが拒否できない鉱物協定
米国はウクライナの平和な将来に利害関係を持つことに
有料会員限定
あなたにおすすめ