中国当局は、人工知能(AI)分野の有力起業家や研究者に対し、米国への渡航を避けるよう指示している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。これは、AIを経済・国家安全保障上の優先事項とする中国政府の見方を反映している。当局は、海外を訪れる中国のAI専門家が同国の進歩に関する機密情報を漏らす可能性を懸念している。また、経営幹部が拘束され、米中交渉の取引材料として利用される可能性も心配している。これは、第1次トランプ政権時代に中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の幹部が米国政府の要請によりカナダで拘束された問題を想起させる。AIはテクノロジーを巡る米中間の新たな戦いの場となっており、中国のAI新興企業ディープシークや電子商取引大手アリババグループなどから中国製AIモデルが登場したことがそれを象徴している。これらの企業はオープンAIやグーグルなどの米国の業界大手に挑戦しており、中国政府は最先端分野の起業家らに対し、国益に沿うよう圧力を強めている。