先週のドナルド・トランプ米大統領、JD・バンス米副大統領とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領との会談での大惨事は、北大西洋条約機構(NATO)の基盤がますます揺らいでいることを証明した。ウクライナでの戦争を巡る2月12日のトランプ氏とロシアのウラジーミル・プーチン大統領との電話会談から始まり、トランプ氏がゼレンスキー氏を「独裁者」であり、この戦争の扇動者だと呼んだことで事態は悪化した。バンス氏がロシアとの比較分析を示さずに、西欧諸国の民主主義が不十分だとのネオコン(新保守主義)的な不満を述べたことで、プーチン氏の外交的な孤立状態が緩和された。国防費の大幅削減を検討するというピート・ヘグセス米国防長官の計画は、さらに悪い結果の前兆だ。米大統領執務室での敵意に満ちた対決でこの状況は完成し、今やすべてが歴史上最も成功した政治・軍事同盟の崩壊を示している。トランプ氏はNATOから正式に脱退したわけではないが、NATOを極めて著しく弱体化させていることから、離脱しても単に最後の侮辱的な振る舞いになるだけだろう。