
長年にわたるヨーグルト摂取は
大腸がんリスクを低下させる?
長年にわたるヨーグルトの摂取は、特定のタイプの大腸がんの発症リスクを低下させる可能性のあることが、米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院および米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院の鵜飼知嵩氏らによる研究で明らかになった。
長年にわたりヨーグルトを週に2回以上摂取している人では、腫瘍組織内にビフィズス菌が検出されるビフィズス菌陽性の大腸がんの発症リスクが20%低いことが示されたという。この研究結果は、「Gut Microbes」に2月12日掲載された。
人体のマイクロバイオーム(微生物叢)に焦点を当てた新たな研究では、ヨーグルトに含まれる生きた細菌の摂取が健康に有益な可能性のあることが示唆されている。鵜飼氏らは今回、ヨーグルトには一般的にビフィズス菌が含まれていることから、長期間のヨーグルト摂取が、組織中のビフィズス菌の量に応じて、腫瘍のタイプごとに大腸がんの発生と異なる関連を示す可能性があるとの仮説を立て、検討した。
対象は、1976年に30〜55歳の女性看護師を登録して開始されたNurses’ Health Study(NHS)と1986年に40〜75歳の男性医療従事者を登録して開始されたHealth Professionals Follow-up Study(HPFS)から抽出した13万2056人であった。対象者は、2016年1月1日まで追跡された。
こうした研究背景について、論文の共同責任著者の1人であるハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院およびブリガム・アンド・ウイメンズ病院の荻野周史氏は、「われわれは、長期にわたる食生活やその他の要因が人体の組織に与える影響、例えば、特定の細菌種の有無により組織にもたらされる影響に違いがあるのかなどを調べている。このような探索的なアプローチにより、食事と健康アウトカムとの関連を示すエビデンスの信頼性を高めることができる」と述べている。