
CHROというポジションをよく耳にするようになった。人事部門のトップだが、実は、CHROに到達する人のキャリアの王道は、人事部スタートではないという。その「意外な王道」とは。(アサイン 甲斐祐太)
人事部門のトップCHROへの道
「意外な王道ルート」とは?
最高人事責任者(CHRO)という役職が、数年前から注目を集めています。丸紅やマツダといった従業員数5000人を超える大手企業では、約半数がCHROを設置しているというデータもあり、企業の成長において必要不可欠な存在になっているといえるでしょう。
CHROと人事部長の大きな違いは、経営の意思決定を担っているかどうかです。人的資本により経営目標の実現を目指すCHROに対して、「今年度中に中途採用で100名営業職を採用する」といった明確な人事目標に対して戦略と実行の責任を担っているのが人事部長になります。
直接的に事業を伸ばしていくことが求められるCHROは、大きなやりがいとそれに見合ったリターンが期待できるため、人事としてキャリアを歩む人の目指す姿の一つともいえるでしょう。
とはいえ、CHROへのキャリアパスは無数に存在するわけではありません。また、実は人事領域で経験を積むことがCHROに直結しないことも多く、明確なキャリア戦略を持って進む必要があります。
人事部が担う採用・育成・評価・報酬・配置・代謝といった6つの機能は、連動しているものではありますが、人事部門のキャリアにおいては、「各機能のプロフェッショナルを目指す」ことが一般的です。
具体的には、新卒採用の採用担当者としてキャリアをスタートした人は、長く採用担当者としてのキャリアを積むことになりますし、大手企業であればジョブローテーションで全く異なる部署に異動するケースもあります。
そのため、同じ人事部に在籍していても、評価や配置戦略といった組織設計を担う部署に異動するケースは多くありません。
こうした特徴もあり、CHROの王道ルートは「別にある」とキャリアの専門家たちは見ています。