ドナルド・トランプ米大統領の1期目に、多くの米国人は退職金口座の残高が増えるのを目にした。もし同氏がホワイトハウスに復帰すれば再び残高が膨れ上がると信じて、彼らは投票した。だが2期目のスタートから数週間にわたり、彼らの年金資産は低迷している。貿易戦争への懸念や景気冷え込みの兆しが重荷となり、大統領就任式が行われた1月20日以降、S&P500種指数は7%下落(11日時点)。米国の主要株価指数は全て、バラク・オバマ大統領の1期目が始まった2009年以降で最悪のスタートを切った(ダウ・ジョーンズ・マーケット・データによる)。最近乱調気味の相場は、昨年の急激な株高からみると百八十度の転換だ。昨年はそのおかげで米国人の年金資産が一気に膨らみ、確定拠出年金(401k)に100万ドル(約1億4800万円)以上の資産がある人の数は、昨秋時点で過去最高に達した。米資産運用大手フィデリティ・インベストメンツによると、2024年末の401kの平均残高は13万1700ドルと過去2番目に高い水準となり、10年前から44%増加した。