今年2月、北大西洋条約機構(NATO)の1万人の部隊がウクライナ国境からわずか数キロメートルの場所で軍事演習を行い、ロシアによるウクライナへの大規模侵攻後に創設された新たな即応部隊をテストした。異例だったのは、米国が不参加だったことだ。今、NATO内外の人々が思案しているのは、欧州だけで演習以上のことができるのかどうかだ。NATOの安全保障に米国が関与しないのではないか、との見方がにわかに浮上している。ウクライナが停戦案の受け入れを表明し、米国がウクライナへの軍事支援を再開したにもかかわらずだ。しかもロシアは、敵対行為の終結を急いでいないと示唆している。米国のロシアに対する外交的働きかけとトランプ政権の欧州に対する冷淡な態度が、不安を高めている。