
「プライベートジェットを買ってきてほしい」「数百億円を超える資産の管理と運用を任せたい」――。こうした超富裕層の贅沢な悩みを解決することを生業とするのが「プライベートバンカー」。税務対策や相続問題、資産運用から特別な買い物やテニスの相手まで、顧客のためなら何でもする、いわば超富裕層に特化した御用聞きだ。放送中のドラマ『プライベートバンカー』(テレビ朝日系列、毎週木曜午後9時~※放送は終了しており、現在はTVer、Netflixなどで配信中)を題材に、現役のプライベートバンカー2人に「超富裕層の生態」と「プライベートバンカーの仕事」を教えてもらった。表に出ることがない超富裕層ビジネスの内幕をご案内しよう。(構成/ダイヤモンド・ライフ編集部)
プライベートバンカーA(本文A):香港・シンガポールの外資系プライベートバンカーを経験して日本で独立。現在は複数の一族を相手にするマルチファミリーオフィス型のプライベートバンカー。
プライベートバンカーC(本文C):大手金融機関プライベートバンカーで、Aと同じ香港のプライベートバンクで勤務した。現在は、日本でファミリーオフィスを運営。
相続で大モメした創業家
筆頭株主が「財務大臣」に?
A プライベートバンカーの重要な仕事の1つが相続です。一代で財を成した超富裕層は、常に相続のことを考えています。なぜなら、超富裕層の相続は複雑で、モメてしまう事例が多いからです。
C 亡くなってしばらく時間がたってから、長男だけ金額がすごい多いと次男が文句を言い出したこともありました。
次男が遺産をすべてキャッシュで10億円もらい、長男が自社株50億円をもらったケースでした。長男はキャッシュを全然もらっていないのに…使えるお金と使えないお金かなので、全く違うはずなんですけど、単純な額面に比べると少ないじゃないかっていう怒りでしたね。
なので、ついつい自社株25億円分と現金5億円で折半してしまうケースもありがちです。
ですが、これでは、長男と次男で経営に関する意見が割れた場合、意思決定ができなくなります。実際にこうした状態に陥った会社があります。
A プライベートバンカーは、そうならないように被相続人と相続人の間を行ったり来たりして年単位の時間をかけてそれぞれの説得をしたり、調整したりします。
相続の方針が決まる前に被相続人がなくなると悲惨ですね。この点は一般の家庭と同じです。