労働基準法を解釈する上で、まず重要なのは、休憩時間の定義です。1日の労働時間が6時間を超える場合には少なくとも45分間、8時間を超える場合には少なくとも1時間の休憩時間が必要です(労基法第34条)。

 そして、休憩時間とは「労働者が自由に過ごす権利が保障されている時間」であり、具体的には「休憩時間は単に作業をしない時間ではなく、労働者が労働から離れることが保障された時間」と解釈されています。

 この視点に立てば、従業員が昼休みを自分の好きなように過ごすのを会社が制限することは、難しいでしょう。

 しかし一方で、労働基準法の施行に関する件(昭和22年9月13日 発基17号)では、「事業場の規律を維持するために必要な制限を加えることは、休憩の目的を害さない限り認められる」とされています。この点を踏まえると、どうでしょうか。

休憩時間中の行動を制限できるケースとは

 B部長は、Aさんが休憩時間内に戻ってこなかったので、職場内ルールを策定しました。Aさん個人に対して、「時間内に戻れないならパチスロに行ってはいけない」と注意することは何ら問題ありません。ただし、職場全体のルールにするのは、やはり行き過ぎだと考えられます。

 また、顧客や取引先に見られる可能性がある点も懸念されていましたが、原則として休憩時間中の従業員の行動は自由です。「パチスロをやっていると思われたら印象が悪くなる」という見解は、偏見でもあるため、これを理由に行動を制限するのは正当とは言えません。

 しかし、制服がある職場の場合は別です。「制服を着用している際のパチンコは禁止」とするのは、制服が会社から貸与されていることや、周囲から目立つことを考慮すると妥当なルールといえます。

 それでは他に、休憩時間の行動を制限できる場合の具体例として、飲酒や喫煙はどうでしょうか?また、最近は「財務省解体」などのデモに参加する人がニュースで取り上げられていますが、政治活動は問題ないのでしょうか?