
デジタル化や脱炭素の潮流が加速し、物価高の影響も続く。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は中外製薬や武田薬品工業などの「製薬」業界4社について解説する。(ダイヤモンド・ライフ編集部 笠原里穂)
中外製薬・アステラス製薬は2桁増収
売り上げ好調でも赤字に陥ったのは?
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の「製薬」業界4社。対象期間は2024年10~12月期としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・中外製薬
増収率:10.3%(当四半期の売上収益3021億円)
・武田薬品工業
増収率:3.0%(当四半期の売上収益1兆1441億円)
・第一三共
増収率:8.5%(当四半期の売上収益4848億円)
・アステラス製薬
増収率:22.6%(当四半期の売上収益5174億円)
今回取り上げた製薬業界の4社は、いずれも前年同期比で増収だった。
中でもアステラス製薬は、前年同期比で2割超の増収で、今回取り上げた製薬会社4社の中で増収率が最も高かった。この四半期は同社の25年3月期第3四半期に当たるが、9カ月間累計の売上収益を見ても、約2割の増収となっている。
一方、利益面では、225億円の営業赤字、241億円の最終赤字となった。この要因は何だったのか。
次ページでは各社の増収率の推移を紹介するとともに、アステラス製薬の業績について詳しく見ていく。