富士フイルム・HOYAが過去最高益の裏で、ニコン・キヤノンは大幅減益…明暗が分かれた理由Photo:AFLO

トランプ政権の劇的な経済政策転換で、追加関税による米中貿易摩擦が激しさを増すなど、世界経済の不透明感が強まっている。そんな状況の中、企業の業績にも明暗が分かれつつある。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比較し、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は、キヤノン、ニコン、HOYA、富士フイルムホールディングスの「カメラ/光学/複合機」業界4社について解説する。(ダイヤモンド・ライフ編集部 大根田康介)

四半期増収率は
ニコンだけがマイナス

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比の増収率を算出した。対象とするのは以下のカメラ/光学/複合機業界4社で、対象期間は2024年10~12月期の四半期である。

 各社の増収率は、以下の通りだった。

・キヤノン
 増収率:9.5%(四半期の売上高1兆2737億円)

・ニコン
 増収率:▲9.0%(四半期の売上高1798億円)

・HOYA
 増収率:13.4%(四半期の売上高2208億円)

・富士フイルムホールディングス(HD)
 増収率:6.0%(四半期の売上高8127億円)

 カメラ/光学/複合機業界の四半期増収率を見ると、ニコンだけがマイナスとなった。同社の10~12月期の営業利益は23億円で、前年同期比185億円減と大きく悪化した。また、第3四半期連結累計期間(3Q累計)の営業利益は81億円で、同76.4%減と大幅な減益となっている。

 一方、HOYAと富士フイルムHDは10~12月期の売上高、営業利益が過去最高を更新した。キヤノンは通期決算となり、1年間で増収したものの、営業利益は2桁のマイナスだった。

 企業ごとに差がついた理由について、次ページ以降で詳しく解説する。