巨額損失を出してもネット金融事業を推進した楽天の三木谷浩史社長
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 楽天の利益構造に、これまでにない“地殻変動”が起きている。

 2013年度第1四半期は、売り上げ・利益共に20%以上の成長を示す好決算となった。営業利益が229億円となり、前年同期に比べ23%増と大きく伸ばした。

 実は、銀行や証券などのネット金融事業が大きく躍進、内部調整前で全体の4割に達したのだ。2割程度だった1年前と比べ急速に存在感を増している。

 とりわけ、「楽天カード」を軸としたクレジットカード事業が会員増加により利益2倍を達成し、今後も成長が見込まれる。

 楽天カードの特徴は、年会費無料という点。ポイントもたまりやすいとあって支持を広げた。

 一方、費用面についても、1人1万円程度かかる加入獲得コストをグループ内のネット展開で数分の1に抑えることができている。Eコマースを利用する顧客が中心で、日用品から高級品まで購買履歴もそろうため与信管理がしやすいのも奏功している。貸し倒れ引当率も4%と、うまく抑えている。

 もともとは05年に買収した旧国内信販が母体で、11年度に、過払い金問題で「お荷物」となった消費者金融事業を約800億円の特別損失を出して一掃したことが大きい。

 楽天の三木谷浩史会長兼社長といえば、旧日本興業銀行出身とあって金融への思い入れは強い。今後、楽天の“金融機関化”はいっそう進んでいくだろう。

 (「週刊ダイヤモンド」編集部 小島健志)

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