スコット・ベッセント米財務長官は、ドナルド・トランプ大統領に進言できる立場にあった。ベッセント氏はトランプ氏に対し、貿易相手国と合意を締結し中国を孤立化させるため、大規模な関税発動を一時停止するよう促し始めていた。フロリダ州にあるトランプ氏の邸宅「マールアラーゴ」から首都ワシントンへ向かう機内で6日、大統領に「エンドゲーム(最終的な落としどころ)」を提案するよう助言した。トランプ氏は準備ができていなかった。しかし週が進むにつれ、株式市場の急落と、通常は危機の際の避難先である米国債の予想外の売りが組み合わさり、状況は無視できないものとなった。トランプ氏は多くの関税を90日間停止した。ベッセント氏は望んでいたものを手に入れたが、望んでいた方法とは程遠かった。