クリストファー・ルフォ氏は、恐らく米国で最も有力な保守派活動家だろう。彼は昨年、ハーバード大学にクローディン・ゲイ学長の交代を迫る活動を主導した。高等教育における批判的人種理論やDEI(多様性・公平性・包摂性)に反対する彼の運動は、ハーバード大などのエリート大学に対するドナルド・トランプ米大統領の攻撃的な政策を形作っている。トランプ政権は14日、22億6000万ドル(約3220億円)の資金提供を凍結し、ハーバード大を狙い撃ちした。この1年間、ルフォ氏は「『新右翼』宣言」と彼が表現する著書「How the Regime Rules」の執筆に取り組んできた。同書の核心にあるのは、意外なインスピレーションだ。それは、米国の保守派にとって長年ブギーマン(気になる恐ろしい人物)だったイタリアの共産主義思想家アントニオ・グラムシだ。保守系シンクタンク、マンハッタン研究所のシニアフェローであるルフォ氏は「グラムシはある意味で、政治がどう機能するかや、知識人、制度、法律、文化、民間伝承といったさまざまな構成要素全ての間の関係を示す図を提供している」と述べた。