「『米国第一』は米国の孤立を意味しない」スコット・ベッセント米財務長官は先月の演説でそう語り、外交政策の専門家たちが一斉に注目した。この言い回しはドナルド・トランプ大統領の1期目の初めの頃に聞かれたもので、政権内の二つの陣営の橋渡しの役目を果たした。一方には米国の同盟国を軽視する経済ナショナリストのグループがあり、もう一方には中国とロシアの封じ込めには同盟国の支援が必要とみる国際主義者たちがいた。2期目のトランプ政権では、同盟国と中国に対して関税を課す一方でロシアは免除するなど、経済ナショナリスト陣営の影響力が強まっている。だがベッセント氏の発言は、国際主義は死んでいないことを示した。同じような兆候は6日にも見られた。トランプ氏はカナダのマーク・カーニー首相とのおおむね友好的な会談で、カナダを米国の51番目の州にすることを重要な議題として扱わなかった。