「スマホを見ていたらあっという間に2時間経ってた…」「あっという間に1日が過ぎていく」。スマホやSNSが蔓延っている今、そう感じたことはありませんか?
『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』の発売を記念して、年間200冊を手がけることもあるほど超人気かつ超多忙なデザイナーであり、著書『時間のデザイン』も刊行された井上新八さんに、特別に話を聞いた。(構成/ダイヤモンド社・秋岡敬子)

仕事ができない人の共通点。三流は「快楽に流される」、二流は「ひたすら我慢する」、では一流は?Photo: Adobe Stock

Q.集中しなければならないのに、ついテレビやスマホが気になる

「集中しよう」とは思っているのに、近くにテレビやスマホがあるとつい気が散ってしまい、やるべきことに集中できません。こんなとき、どうすれば誘惑に負けずに済むのでしょうか?

「テレビなしで暮らしてみる」という手段

井上新八氏(以下、井上氏) たしか、『とっぱらう』の中に「愛しているなら手放してやれ」という戦術がありますよね。

戦術:愛しているなら手放してやれ
 テレビを捨てる必要はないが、視聴時間をどうしても減らせない人は、1か月間テレビ断ちという極端な方法を試してもいい。テレビのコンセントを引っこ抜き、クローゼットにしまうかどこかの倉庫に入れてしまうかして、テレビなしで暮らしてみるのだ。
 1か月経ったら、テレビを見ない時間にできたことを全部思い返し、どれだけの時間をテレビに返してやりたいか考えよう。

――『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』より

 つまり、「誘惑に勝とうとする」のではなく、「誘惑を視界から消す」ことで、強制的に行動を変えるというアプローチです。ただ、このやり方がすべての人に合うとは限りません。

 それに、ぼくの場合はむしろ逆なんですよ。

 仕事中は常にアニメやドラマを流しています。

 基本的にドラマとかアニメとかを見る時間が取れないので、作業中にテレビをつけて、なるべく全部見るようにしてますね。

 一時期はほぼすべてのドラマやアニメを見ていたんですが、今はアニメが約30本、夏に始まったドラマを13本くらいしか見れていません。

――うーん、どちらにせよめちゃくちゃ見てますね。常人からすると、比較になってないような気も……。気が散って、ついテレビに集中しちゃうってことはないんですか?

井上氏 多分ぼくは、多少集中を奪われる方が集中できるっていうタイプの人なんですよ。だからむしろテレビがあってもらわないと困るという(笑)。

「自分がそこまで好きではないもの」を流す

――ドラマとかアニメの内容も頭に入っているんですか?

井上氏 ある程度理解はしてますよ。

 まあ、「自分に合わない」と思ったらそこで見なくなったり、流すだけでもう気にも止めないこともあるので、視界に入っていてもそこまで意識は向かないんです。

――でも絶対、何かと誘惑に弱い人間であればテレビやスマホにつられてしまうと思うんです。一体どんなすごい秘訣を隠しているんですか?!

井上氏 なにも特別なことはしていないですけど、意識的に1つのことに「集中しすぎない」ようにしてるのかもしれません

 仕事よりドラマに集中してるときもあれば、まったくドラマが頭に入ってこないときもある。それで仕事への距離感がなんとなく測れたりもする。

 流してるドラマがまったく頭にはいってなかったときは、それだけ集中できてたってことです。

「集中しよう」と思って力を込めるより、「知らない間に仕事に集中しすぎてた!」と思うのが、最高の状態だと思うんですよね。

 その状態にもっていくために、あえて最初は意識を散らす。
 テレビをつけておくのって、ぼくにとってはそんな効果のためかもしれないです。

 静かすぎる環境だとどうしても集中できないなんて人は、あえて「自分が夢中になりすぎない番組やチャンネル」を選んで流してみるのは効果があるかもしれません。

仕事ができない人の共通点。三流は「快楽に流される」、二流は「ひたすら我慢する」、では一流は?井上新八(いのうえ・しんぱち)
1973年、東京生まれ。和光大学在学中に独学でブックデザイン業を始める。大学卒業後は新聞社で編集者として働き、2001年にフリーランスのブックデザイナーとして独立。年間200冊近くの本をデザインしている。担当した書籍は『覚悟の磨き方』『自分とか、ないから。』(サンクチュアリ出版)『運動脳』(サンマーク出版)など多数。著書の最新刊は『時間のデザイン』(サンクチュアリ出版)。
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