ドナルド・トランプ米大統領の関税引き上げに対し、中国は一連の報復措置で対抗した。4月4日には他の措置とともに、米国の防衛、エネルギー、自動車産業にとって不可欠な17種類のレアアース(希土類)の一部と、磁石類の一部の輸出を停止した。その事態を受けたメディアの論説で、欧米が抱える脆弱(ぜいじゃく)性に対する深い不安が露呈した。米紙ニューヨーク・ポストは、中国が「米産業の膝を撃ち抜いた」と非難した。英BBCは、共産主義の中国が「アメリカに大打撃を与えた」と大々的に報じ、英誌エコノミストは、中国によるレアアースの支配は「米国を傷つける可能性のある武器」だと警告した。こうした論説には一理ある。国際エネルギー機関(IEA)によれば、中国はレアアースの生産で約61%、加工で92%の世界シェアを持っている。しかし米メディアが苦悶(くもん)に満ちた反応を見せたことで、多少の忘れっぽさも露呈してしまった。実際には、米国は以前にも同じ状況に置かれていたのだ。
【寄稿】それほど希少ではない中国のレアアース
過去の供給停止に向けた動きでは、世界は適応方法を見つけた
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