「無電柱化」工事のスペシャリスト 大地震の被害を減らす「予防防災」を推進

──御社の事業内容をお聞かせください。

村山 当社、株式会社長栄通建は、電線や通信ケーブルを地中に収める「電線共同溝工事」を専門とする施工会社です。

「無電柱化」工事のスペシャリスト 大地震の被害を減らす「予防防災」を推進代表取締役 ・村山一十四氏(むらやま・ひとし) 1953年生まれ。PL学園高等学校卒業。76年4月に前身の長栄通建株式会社入社。2003年に組織変更、現在の長栄通建設立。06年11月代表取締役に就任。

 電気・通信の設備知識と土木技術の両方を有する点が評価され、札幌市内の国道36号線をはじめとした幹線道路の無電柱化工事に1次下請けとして長年携わってきました。現在は国道12号線などにも工事範囲を拡大しています。さらに、国土交通省NETIS(新技術情報提供システム)に登録されたトレンチャー掘削機「アーストレック」や地中探査機「GS8000」を活用し、効率的かつ低コストでの施工を実現しています。

 また、無電柱化を防災・景観の両面から支える先進的な取り組みを通じ、北海道から全国に向けて安全なインフラ整備を進めています。

──村山社長も当初から無電柱化工事に関わっていたのですか?

村山 1976年に入社して以来、土木の仕事を担当していたので、最初から関わっていました。深く知るうちに無電柱化の重要性に気付かされました。

 無電柱化の効果としては、防災性の向上、安全な通行空間の確保、景観の向上などがありますが、私は特に、「予防防災」の面で重要だと考えています。

──「予防防災のための無電柱化」とは?

村山 無電柱化は景観改善だけでなく、災害被害を未然に防ぐ「予防防災」としての役割が重要です。

 95年の阪神・淡路大震災では、倒壊した電柱が道路をふさぎ、救急・消防の通行を妨げました。2024年の能登半島地震でも、多くの電柱が倒れ道路をふさぎ、復旧活動が困難となりました。

 今後想定されている南海トラフ巨大地震、首都直下地震、千島・日本海溝周辺での大地震でも、同様の事態が懸念されています。