iDeCo商品入れ替え前編Photo: Adobe Stock

この春、2026年4月から楽天証券のiDeCo(個人型確定拠出年金)の運用商品が変わったのはご存じだろうか。大手ネット証券のもう一つの雄であるSBI証券でも同様の入れ替えが10月に予定されている。自分が拠出している商品が「除外」されてしまえば、運用されずに「現金」のまま眠ってしまう、さらには自動的に違う商品で運用されるリスクがある。ファイナンシャル・ジャーナリストでiDeCoに関する著作も多数ある竹川美奈子さんへの取材をもとに、加入者が今すぐ行うべき対応を紹介する。(木村香代、ダイヤモンド・ザイ編集部)

大人気の投信「ひふみ年金」がiDeCoから除外に!
楽天9本、SBIは11本の大規模な入れ替え

 iDeCoの加入者にとって、一度決めた運用商品は「長期間ほったらかし」が一般的かもしれない。しかし今、その前提が揺らいでいる 。 

 原因は2018年の法令改正で導入された「35本ルール」だ 。運営管理機関(証券会社や銀行)が、iDeCoで提供できる運用商品は、1プランにつき上限35本と定められた 。これにより、新しい商品を追加することで商品数が上限に達する場合には、既存の商品を削らなければならない「定員制」の運用を余儀なくされているのである 。
 
 2026年は、楽天証券が9本の投資信託を除外。SBI証券は11本もの除外候補を挙げている。中には個人投資家に人気の「セゾン資産形成の達人ファンド」「フィデリティ・日本成長株・ファンド」(楽天証券)や、「ひふみ年金」(SBI証券・セレクトプラン)などが含まれている。運用商品に指定している人も多いのではないだろうか。

「楽天証券やSBI証券といった大手ネット証券は、顧客ニーズに応えるため、という理由で積極的に商品を追加したい考えで、今後も一定の商品入れ替えはありそうです」(竹川さん)。

*投信保有者の3分の2以上の同意を得ることが条件

毎月拠出しているお金がムダに!?
「未指図資産」化で積立が止まるリスク

 自分が積み立てている商品が除外対象になった場合、最も警戒すべきは拠出金が「未指図資産(みさしずしさん)」になることだ 。
 
 除外が決定した商品は新規の買付が停止されるため、代替の商品を指定(配分変更)しない限り、毎月の拠出金は運用に回らず現金状態で待機することになる。しかも、何の投資もされない間も口座管理手数料は発生し続けるため、資産が目減りする可能性がある点にも注意が必要だ。

 さらに、そのまま約4カ月が経過すると、各社が設定した「指定運用方法」の商品へと自動的に資産が振り替えられる仕組みだ。つまり、意図しない商品に勝手に投資されてしまう、ということが起こりうる。
 
 楽天証券の場合、この指定運用方法は「楽天・インデックス・バランス(DC年金)」という商品になる。債券と株の割合が85:15、為替ヘッジありと極めて保守的な商品だ。つまり株式市場の上昇局面においては、本来得られたはずのリターンを逃す「機会損失」のリスクがある。

iDeCoの除外対象は、かつての人気投信がゾロゾロ
楽天証券・SBI証券の「除外」「追加」リストは?

 今回の入れ替えで除外対象となる主な商品は以下の通りだ。楽天証券は既に除外が決定している。一方、SBI証券(セレクトプラン)はこれから、本格的な手続きが始まる点に注意したい(まだ除外は決定ではない)。

 除外商品は「楽天証券ファンドスコア(5年)」の24カ月ローリング平均値(月末のファンドスコア(5年)24カ月分の合計を24で割った数値)が2.5未満のファンドから選出とのことで、定量基準スコア(過去の収益率、リスク、コストなどの運用実績を数値化したもの)が低いものが並んでいる。つまり、一定の基準に基づき、成績が振るわなったと評価された投資信託が対象ということだ。

 竹川さんは楽天の除外・採用の基準について、次のように課題をあげる。

「除外商品に対しては定量基準スコアに基づいて決定していますが、新規採用基準では運用期間が短くスコアを出せないものが多い。また運用会社は系列である楽天投信投資顧問が増えた点は気になりますね」