
米ネブラスカ州オマハで10日、連邦当局が食肉加工会社グレン・バレー・フーズを捜索した際、生産ラインの従業員のおよそ半数に当たる約75人が逮捕された。翌日、工場の稼働率は15%程度に落ち込み、最小限の人員が受注に対応しようと苦労していた。
同社のゲーリー・ローワー最高経営責任者(CEO)は「移民労働者がいなければ業界は成り立たない」と述べた。
ドナルド・トランプ大統領の移民強制送還政策は経済的な現実に直面している。米国の主要産業は不法滞在の労働者に大きく依存しており、そうした労働者の多くは数十年にわたって不法滞在を続けている。これは政権にとって現在も進行中の大きな課題となっており、経営者らが柔軟な対応を求める一方、反移民強硬派は強制送還の拡大を要求している。
この対立は解決が難しく、政権内での衝突を示す兆候も現れている。国土安全保障省(DHS)は先週末、農場やレストラン、ホテルでの摘発を一時停止するよう移民当局に指示し、不法滞在者の中でも犯罪歴のある人物に焦点を当てるべきだと強調した。
ブルック・ロリンズ農務長官は15日、「食料供給に深刻な混乱が生じれば、米国民に被害が及ぶ」とXに投稿した。「この混乱に陥るまでに数十年かかった。われわれは強制送還に優先順位を付けて実施することで、この状況から抜け出そうとしている」
一方で、DHSは先週の指示を撤回したようだ。