米テキサス州北部フォートワースのある生産施設で、頭からつま先まで防護服に身を包んだ作業員らが、摂氏982度の溶融金属のタンクに大きなひしゃくを浸している。彼らが製造しているのは、米国がこの数十年間、商業規模での生産をほぼ行ってこなかったもの、すなわちレアアース(希土類)だ。この工場は、レアアース生産大手MPマテリアルズの数十億ドル規模の賭け、つまり米企業が中国のレアアース支配に対抗できることを目に見える形で示したものだ。レアアースを原料とする磁石は、自動車やスマートフォン、ミサイルシステムなどの先端技術製品に幅広く使われている。