ドナルド・トランプ米大統領は、連邦準備制度理事会(FRB)を意のままに動かし、ジェローム・パウエル議長を脇に追いやるためのチェスゲームで、重要な駒を偶然手に入れた。FRBのアドリアナ・クーグラー理事が先週、8月8日に退任すると突然発表した。任期満了は約6カ月後だった。これにより、トランプ氏は自身が想定していたよりも早く、連邦公開市場委員会(FOMC)に意中の人物を送り込む機会を得た。利下げを推進する新たな味方を得て、パウエル議長への圧力を強められる。トランプ氏はこの人事を通じて、事実上の次期議長を送り込み、FRBの今後の方向性に関するシグナルを求めて市場が注目する「対抗勢力」を作り出すこともできるのだ。