「選ぶ楽しさ」で客単価を上げる“松竹梅”の法則

ご紹介した2つの法則に加えて、お客様の購買意欲を自然に高める、とっておきの法則があります。それが「松竹梅の法則(ゴルディロックス効果)」です。

人は3つの選択肢を提示されると、無意識に真ん中の選択肢を選びやすい、という心理的傾向があります。

例えば、あなたのショップで3つの価格帯のギフトセット「松(10,000円)」「竹(7,000円)」「梅(4,000円)」を用意したとします。

多くのお客様は、最も高い「松」を贅沢すぎると感じ、最も安い「梅」を物足りないと感じるため、中間の「竹」を選びやすくなるのです。

この法則の優れた点は、お客様に「自分で選んだ」という満足感を与えながら、ショップ側が売りたい価格帯の商品へ自然に誘導できることです。

一番売りたい商品を「竹」の価格帯に設定し、その上下に「松」と「梅」を戦略的に配置することで、お客様は楽しみながら商品を選び、結果的に客単価の向上にもつながるのです。

れは、お客様にとってもショップにとっても、嬉しい結果を生む魔法の仕掛けといえるでしょう。

「損をしたくない!」気持ちが購入の最後のひと押しに

次にご紹介するのは、人の「損失を避けたい」という強い感情に働きかける「損失回避の法則」です。

人は「1,000円を得る喜び」よりも、「1,000円を失う苦痛」の方をはるかに大きく感じるます。この心理を応用しない手はありません。

「本日限りのタイムセール」「残り3点です!」「会員様限定の特別割引は今週末まで」といった言葉は、まさにこの法則を利用したものです。

これらの言葉は、お客様に「今買わないと、このお得な機会を失ってしまう(=損をしてしまう)」という気持ちを抱かせ、購入の決断を力強く後押しします。

ただし、この手法を多用すると「またやっているな」とお客様に思われ、効果が薄れてしまう可能性もあります。

特別なキャンペーンや季節のイベントなど、ここぞというタイミングで活用することで、お客様の「買いたい」という気持ちを最大限に引き出し、売上アップの強力な起爆剤となるでしょう。

ポジティブな伝え方で商品の魅力を倍増させる

最後は、伝え方一つでお客様の印象を劇的に変える「フレーミング効果」です。同じ事実でも、どのような言葉の「フレーム(枠)」で伝えるかによって、受け手の判断は大きく変わります。

例えば、ある健康食品を「脂肪分10%」と表現するのと、「脂肪分90%カット」と表現するのとでは、どちらがより魅力的に聞こえるでしょうか。ほとんどの人が後者を選ぶはずです。

また、「お客様の10%が満足しませんでした」と伝えるより、「お客様の90%にご満足いただいています」と伝えた方が、商品の信頼性は格段に上がります。

これは、お客様を騙すテクニックではありません。商品の持つ価値や魅力を、お客様にとって最もポジティブで分かりやすい言葉で伝える「おもてなし」の心です。

自社の商品やサービスの長所を、どのような言葉で表現すればお客様の心に響くのか。この視点を持つだけで、あなたのショップの魅力はさらに輝きを増すはずです。

※本稿は、『「おウチ起業」で4畳半から7億円 ネットショップで「好き」を売ってお金を稼ぐ!』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。