あなたの部下は芸術家タイプ? 職人タイプ? 菊池寛に学ぶ「2つの物差し」を持つ重要性
文芸作品を読むのが苦手でも大丈夫……眠れなくなるほど面白い文豪42人の生き様。芥川龍之介、夏目漱石、太宰治、川端康成、三島由紀夫、与謝野晶子……誰もが知る文豪だけど、その作品を教科書以外で読んだことがある人は、少ないかもしれない。「あ、夏目漱石ね」なんて、名前は知っていても、実は作品を読んだことがないし、ざっくりとしたあらすじさえ語れない。そんな人に向けて、文芸評論に人生を捧げてきた「文豪」のスペシャリストが贈る、文芸作品が一気に身近になる書『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』(ダイヤモンド社)。【性】【病気】【お金】【酒】【戦争】【死】をテーマに、文豪たちの知られざる“驚きの素顔”がわかる。ヘンで、エロくて、ダメだから、奥深い“やたら刺激的な生き様”を大公開!
※本稿は、『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

大ヒット作『真珠夫人』作者
マルチな才能に驚愕
文壇に輝く二つの星、芥川賞・直木賞の誕生
昭和10(1935)年に「文藝春秋」は、芥川龍之介と直木三十五の名前を冠して「芥川賞(正式名は「芥川龍之介賞」」と「直木賞(正式名は「直木三十五賞」)」を設立しました。
「作品」か「手腕」か、二つの賞の狙い
芥川賞は雑誌に発表された新進作家による純文学の中・短編作品、直木賞は新進・中堅作家によるエンターテインメント作品の単行本(長編小説もしくは短編集)が対象ですが、菊池には「芥川賞は作品に、直木賞は手腕に」という考えがあったようです。
芥川龍之介という人気作家と直木三十五という大衆作家―惜しくも亡くなった2人の親友の名前をうまく冠したことで注目を浴び、文壇の新進・中堅作家を世に送り出す登竜門になります。
使いきれないほどの賞金と名誉
第1回受賞者の正賞は懐中時計で、副賞賞金は500円だったそうですが、第1回直木賞受賞者の川口松太郎は、仲間を一流レストランに招待しておごったものの使い切れず、200円ほど余ってしまったといいます。
“頼れる兄貴分”のもう一つの顔
いずれにしても、菊池がいかに新人作家のプロデュースに力を入れていたかがわかります。
「これは」という人物には、惜しみなく投資し、縁をつくる。
“頼りになる兄貴分”という感じですが、菊池が自分の上司だったらと思うと、手のひらの上で踊らされていることにも気づけないくらいうまくコントロールされそうで、少し怖くもありますね。