語学の勉強は始めても続けるのが難しい。参考書を買っても三日坊主になったり、単語帳が開かれないまま本棚に眠っていたり――そんな経験を持つ人は少なくないだろう。そんな“挫折しがちな学び”を楽しく続けられると話題なのが、『ゼロからわかる! 楽しく続けられる! 韓国語1年生』だ。「本当にわかりやすい」「勉強を始めようか悩んでいる人にもおすすめ」と初心者から厚い支持を集めている。著者のハングルノート加藤氏は、月間180万PVを超える人気ブログ「ハングルノート」の運営者でもある。今回は、“韓国語初心者”だったハングルノート加藤氏が、なぜここまで多くの人に支持されるブログをつくれたのか、その原点と発信への思いを聞いた。(構成:照宮遼子)
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ウェブデザイナーが韓国語ブログを始めた理由
――韓国語ブログ「ハングルノート」を立ち上げたきっかけについて教えてください。
ハングルノート加藤(以下、加藤):もともとウェブデザイナーとして働いていたんです。お客さんには「これからはブログで集客できる時代ですよ」なんて話していたんですけど、自分ではブログをやっていなくて(笑)。
実際に自分でブログをやって結果を見せられたほうが説得力もあるし、仕事にもつながるなと思って、「じゃあ自分でもブログを運営してみよう」と始めたのがきっかけでした。
――なるほど。テーマとして韓国語を選んだのは?
加藤:ちょうど韓国人の彼女ができて韓国語を勉強し始めたタイミングだったんです。どうせなら勉強したことをまとめて発信すれば自分の勉強にもなるし、同じように学び始める人の役にも立つかもしれない。そんな軽い気持ちでスタートしたんですけど、最初のころは正直そこまで真剣じゃなくて、勉強が続かないことも多かったです。
勉強が「習慣」に変わり、ブログのアクセス数も増加
――勉強を続けられるようになったきっかけはなんだったのでしょうか?
加藤:2014年にワーホリで韓国に1年住んだときですね。現地での体験を記事にしていくうちに、自然と毎日韓国語に触れるようになって、勉強が生活の一部になっていったんです。
――記事を書くことが、そのまま勉強の習慣になっていたわけですね。
加藤:そうですね。ネタを探すためにも韓国語を使わなきゃいけないので、「もっと理解できるようになりたい」という気持ちも強くなりました。アクセスが伸びていったのもうれしかったですけど、それ以上にブログを書くことで勉強が続いたことが大きな収穫でした。
「何から勉強したらいいかわからない」韓国語初学者の心に響いた
――「ハングルノート」は月間最高180万PVだとか。すごい人気ですね。これまでの記事のなかで、特に初心者に喜ばれたものはどんな内容ですか。
加藤:一番よく使ってもらえたのは「韓国語の単語の一覧ページ」ですね。単語を1,000件以上まとめて、音声を流したり文字を隠したりできるようにしたんです。暗記が苦手でも「まずはここから」と取り組みやすくしたかったんですよ。
――仕組みを工夫したからこそ、学習ツールとして定着したんですね。『韓国語1年生』の巻頭にも出てくる「韓国語のあいうえお表」も反応が大きかったそうですね。
加藤:そうですね。「韓国語のあいうえお表」は日本語の五十音をハングルで並べた表なんですが、当時はあまりネットで見かけなかったんです。
「なんで他のサイトにはないのかな?」と、自分のサイト上につくってみたら、すごい勢いでアクセス数が増えてビックリしました。
僕がつくった画像が拡散されたり、他のサイトに真似されたりもしましたが、それだけ必要とされていたんだなと感じました。
――初心者が最初に知りたいことを形にしたのが「ハングルノート」なんですね。
加藤:そう言っていただけで嬉しいです。「韓国語の勉強のはじめかた」についての記事も人気で、「韓国語の勉強って、まずどこから手をつければいいのか」が一番わからないんですよね。そういう記事が入口になったのかなと思います。
『韓国語1年生』も、そういった「何から順番に勉強すればいいのかわからない」という読者を意識した構成なので、初心者の方に好評のようです。
ハングルノート加藤氏
「シンプルなわかりやさすさ」が評判に
――記事の内容以外で、大事にしてきたことはありますか。
加藤:デザインですね。もともとウェブデザイナーなので、「どうすれば見やすいか」「ストレスなく勉強できるか」にはこだわってきました。文字の大きさや配置をちょっと工夫するだけでも印象って全然変わるんですよ。
――たしかに、見やすさがあると続けやすいですよね。
加藤:そうですね。「シンプルでわかりやすい」とか「スッと理解できる」と言ってもらえるのが一番うれしかったです。その積み重ねもあって、書籍のお話をいただけたんです。
デザイン面だけでなく、内容全体を評価してもらえたのは本当に励みになりました。ブログと同様に『韓国語1年生』の本文中の図も見やすさをかなり意識してつくっています。
教える立場としてではなく、「一緒に挑戦する仲間」として届けたい
――これからの発信では、どんなことに力を入れていきたいですか。
加藤:現地で実際に使えるフレーズや、体験と一緒に覚えられるような発信をしていきたいですね。旅行のときに「この表現を使ってみよう」と思えるような企画や動画なんかもやってみたいです。
僕自身もまだ学習中なので、上から教える立場じゃなく、「一緒に挑戦している仲間」として届けたいと思っています。
――そうしたスタンスは本にもつながっていますよね。
加藤:そうですね。『韓国語1年生』も、まさにその延長です。勉強がなかなか続かない人にとっても「これならできるかも」と思えるように工夫しました。
将来韓国に留学したい人、韓国語を使った仕事に就きたい人や韓国で働きたい人にも役に立ちそうな情報を入れています。気軽に手に取ってもらえれば、韓国をもっと身近に感じてもらえると思います。
(本稿は『ゼロからわかる! 楽しく続けられる! 韓国語1年生』に関する書き下ろし特別投稿です)
韓国語ブログ「ハングルノート」管理人
1985年、愛知県生まれ。27歳のときに、韓国人女性と付き合い始めたことをきっかけに、韓国語の勉強を始める。最初の数年は、韓国語自体にさほど興味を持てず、韓国語がまったく身につかなかった。30歳のときに、ワーキングホリデーを利用して韓国国内の企業で就業(日本語で勤務)。32歳でWeb制作会社を起業。本格的に韓国語を学びたいと思い、35歳で韓国へ語学留学。梨花女子大学校、ソウル市立大学校、西江大学校で修学。37歳のときに、西江大学校語学堂6級を卒業。自身の勉強のメモ帳がわりにつくり始めたブログ「ハングルノート」は、開始8年で月間最大180万PV、60万UUを突破。「勉強のポイントがわかりやすい」「韓国のことがよくわかる」と評判に。韓国旅行YouTuberとしても活動し、人気を集めている。








