【そりゃ差がつくわけだ…】株のプロが重要視する「会社計画」以外の“もう一つの数字”
ベストセラーとなっている『5年で1億貯める株式投資 給料に手をつけず爆速でお金を増やす4つの投資法』の著者・kenmoさんと、新刊『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略」』の著者・宇根尚秀さんによる特別対談をお送りする。新NISA(少額投資非課税制度)で、大人気の「オルカン(eMAXIS Slim全世界株式<オール・カントリー>)」「S&P500(米国株式)」に連動する投資信託を始めた多くの個人投資家に、次の一手となる個別株投資を指南。個人投資家とファンドマネージャーによる「ここでしか語れない話」を繰り広げる。

なぜあなたの投資は上手くいかない? プロが語る情報収集の「致命的な落とし穴」Photo: Adobe Stock

プロが実践する
情報収集術と分析のポイント

kenmo 株式投資における「情報収集術」についてお伺いします。テーマとして「忙しい会社員でも大丈夫。これだけは最低限見るべき情報源と分析のポイント」というものですが、私自身は最近少し情報収集を怠っていると感じています。

普段、企業のオンラインIR説明会に参加することが主な情報源になっているのですが、それだけだと登壇された企業の情報に偏ってしまいます。そのため、なるべく多様な企業のIR動画を視聴したり、世の中の動向をウォッチしたり、『会社四季報』で銘柄発掘をしたり、日々のニュースフローを追ったり、ということは意識しています。

宇根さんは非常にお忙しい中で、普段どのような情報収集や分析をされているのでしょうか。ぜひそのあたりを詳しくお聞かせください。

網羅的なインプットと
「想像力」を働かせる視点

宇根尚秀(以下、宇根)「情報源はこれ一つだけ」という言い方をするのは、非常に難しいですね。真面目にお答えすると、まず「適時開示」は気になるものをすべて手分けしてチェックしていますし、「決算短信」や「有価証券報告書」も当然読み込んでいます。証券会社のアナリストレポートにも目を通します。

また、日々のニュースやX(旧Twitter)も重要な情報源です。特に影響力のあるデイトレーダーの方々の発言には注目していますし、出来高が急増している銘柄や最高値を更新している銘柄のリストは常に見ています。その中から、何か想像力を働かせられるような、面白いストーリーが描けないかという視点で銘柄を探しているのが正直なところです。

時間の配分で言えば、kenmoさんがおっしゃるように、会社説明会の動画や決算説明資料などに目を通す時間が多くを占めているかもしれません。

差がつくポイントは
「コンセンサス(市場期待値)」との比較

宇根 ただ、基本的な情報収集に加えて、あまり他では強調されていないかもしれない重要なポイントが、「コンセンサス予想を見ること」だと考えています。

例えば、『会社四季報』の予想は、マーケットの期待値を表す一つの指標です。私たちは、①会社が発表する業績計画、②四季報などのコンセンサス予想、そして③我々自身が四半期ごとに立てる独自の業績予想モデル――この3つを常に比較しています。

自社でも「今回の営業利益はこれくらいではないか」という大まかな予想を立てており、そのズレを分析することで見えてくるものがあります。マーケットの期待、つまりコンセンサスがどこにあるのかを把握することは極めて重要です。

また、会社の業績計画に対して、進捗率も注視します。例えば、第2四半期終了時点で進捗率が50%を大きく超えているような銘柄は、当然ながら業績の上方修正期待が高まります。

昨今のように業績が株価に直結しやすい相場では、こうした短期的な視点での指標がもっと強調されても良いのではないかと感じています。