ルーブル美術館で19日に白昼堂々と強盗団が押し入り、貴重な宝飾類などを盗み出す事件が発生した。一夜明け、フランスでは困惑した国民が、なぜこのような恥ずべき事態を許してしまったのか自問している。その答えの一部は、世界で最も価値ある美術品コレクションを管理し、多くの来館者にも対応する国営のルーブル美術館が、ひっ迫する公的財政の影響を受けていることにある。フランスの文化的威光の象徴であるルーブル宮殿で、強盗団がほとんど抵抗に遭わずに侵入できた事実は、美術館の脆弱(ぜいじゃく)性だけでなく、国内の全ての文化施設の脆弱性に懸念をもたらしている。フランスの内相や文化相は20日、緊急の危機対策会議を招集。美術館内の職員に加え、世界で最も訪問者が多い観光地の一つをパトロールする外部の警察部隊の対応まで、セキュリティーが破綻した範囲を検証した。