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買い物をすると、ほぼ必ずといっていいほど、「ポイントカードはお持ちでしょうか」と聞かれる。しかし、ポイントを貯める気のない人にとっては、不毛なやり取りでしかない。そもそもポイントカードを持つことが「絶対にお得」とは言い切れず、デメリットもあるのだ。スマートに断る術を紹介しよう。(イトモス研究所所長 小倉健一)
私はただ、目の前の商品代金を支払い、店を出たいだけ
レジカウンターの前で繰り返される、ある種の儀式のような、無意味なやり取りがある。
商品をカゴから出し、店員がバーコードを読み取る。軽快な電子音が鳴り響く。会計金額が表示される直前、あるいは直後、店員は決まりきった台詞を口にする。
「ポイントカード(アプリ)はお持ちでしょうか」
私は持っていない。財布の中を無駄なプラスチックカードで膨らませるのが好きではないし、スマートフォンの中を無数の企業アプリで埋め尽くすのもごめんだからだ。だから短く「ない」と答える。
しかし、これで解放されるわけではない。ここからが本当の戦いである。店員は間髪入れずに続けるのだ。
「ただいまポイントをつけると大変お得になるカードがすぐに、無料でお作りできます。3回貯めれば…」
私はただ、目の前の商品代金を支払い、店を出たいだけなのだ。なぜ、これほどまでに執拗に会員になることを求められるのか。なぜ、貴重な時間を割いてまで、住所や氏名、あるいはメールアドレスという個人情報を切り売りしなければならないのか。
店員に悪気がないことは承知している。マニュアル通りに動いているだけだ。だが、このやり取りは、双方にとって時間の浪費でしかない。
企業がこれほどまでにポイントカードやアプリの導入を推進する背景には、明確な経済的理由が存在する。単なる顧客サービスではない。そこには、顧客を囲い込み、人間の購買心理を巧みに利用して「不要購買」を誘発するメカニズムが隠されている。
学術的な視点から、この現象をひも解いてみよう。尾室拓史氏による2023年の論文『消費者の特性がポイントの知覚価値に与える影響』には、先行研究のレビューとして、企業がポイントカードを活用する狙いが明確に記述されている。







