シンガポール国立大学(NUS)リー・クアンユー公共政策大学院の「アジア地政学プログラム」は、日本や東南アジアで活躍するビジネスリーダーや官僚などが多数参加する超人気講座。同講座を主宰する田村耕太郎氏の最新刊、『君はなぜ学ばないのか?』(ダイヤモンド社)は、その人気講座のエッセンスと精神を凝縮した一冊。私たちは今、世界が大きく変わろうとする歴史的な大転換点に直面しています。激変の時代を生き抜くために不可欠な「学び」とは何か? 本連載では、この激変の時代を楽しく幸せにたくましく生き抜くためのマインドセットと、具体的な学びの内容について、同書から抜粋・編集してお届けします。
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組織人には、自分の探求心の
行き先は見つけられない
組織に属して、言われた「作業」をやって、時間を売って、毎月給料をもらっていると、“自分の探求心の行き先”はなかなか見つけられない。
しかし、いつかは、組織からは引退を迫られる。
そのときに、社長とか先生とか言われ続けたままでいたら、プライドや過去にひきずられ、“自分の探求心の行き先”など見つけられないだろう。
「作業」しかしてこなかった人たちの仕事は、
AIに破壊される
しかし、人生は残酷だ。プライドや昔の肩書では、死ぬまで食べていくことはできない。
特に「作業」しかしてこなかった人たちの仕事は、AIが今までより、それを決定的に破壊するだろう。
決して遅すぎることはないが、できるだけ人生の早いうちから、自分の好奇心を解き放ち、テクノロジーを使いこなしながら、それを楽しく追求していくことだ。
私は、それこそを「起業家精神」と呼びたい。
これを当たり前にやっていかないと、この先危ういだろう。これは組織の中にいようが外にいようが、これからは当たり前の時代になってくる。
AIをリードして使いこなす人が、
豊かで幸せになれる
大組織も、今後は「作業」だけやって、時間を売っている人たちを養えなくなる。
総理だろうが、先生だろうが、社長だろうが、いずれは大海にたたき出されるのだ。
自分の力で泳いでいかないといけない。昔みたいに引退しても、すぐには死ねない。お金のかかる長い老後を、自分の力で泳いでいかないといけないのだ。
AIを敵とみなすような教育を受けてきた人は、瞬殺されるだろう。
逆に、AIをリードして使いこなして、自分の好奇心にそって探求していく人は、今までより、豊かで幸せになれるだろう。
自分と自分の好きを見つけるのは、早いほうがいい。
(本稿は『君はなぜ学ばないのか?』の一部を抜粋・編集したものです)
シンガポール国立大学リー・クアンユー公共政策大学院 兼任教授、カリフォルニア大学サンディエゴ校グローバル・リーダーシップ・インスティテュート フェロー、一橋ビジネススクール 客員教授(2022~2026年)。元参議院議員。早稲田大学卒業後、慶應義塾大学大学院(MBA)、デューク大学法律大学院、イェール大学大学院修了。オックスフォード大学AMPおよび東京大学EMP修了。山一證券にてM&A仲介業務に従事。米国留学を経て大阪日日新聞社社長。2002年に初当選し、2010年まで参議院議員。第一次安倍内閣で内閣府大臣政務官(経済・財政、金融、再チャレンジ、地方分権)を務めた。
2010年イェール大学フェロー、2011年ハーバード大学リサーチアソシエイト、世界で最も多くのノーベル賞受賞者(29名)を輩出したシンクタンク「ランド研究所」で当時唯一の日本人研究員となる。2012年、日本人政治家で初めてハーバードビジネススクールのケース(事例)の主人公となる。ミルケン・インスティテュート 前アジアフェロー。
2014年より、シンガポール国立大学リー・クアンユー公共政策大学院兼任教授としてビジネスパーソン向け「アジア地政学プログラム」を運営し、25期にわたり600名を超えるビジネスリーダーたちが修了。2022年よりカリフォルニア大学サンディエゴ校においても「アメリカ地政学プログラム」を主宰。
CNBCコメンテーター、世界最大のインド系インターナショナルスクールGIISのアドバイザリー・ボードメンバー。米国、シンガポール、イスラエル、アフリカのベンチャーキャピタルのリミテッド・パートナーを務める。OpenAI、Scale AI、SpaceX、Neuralink等、70社以上の世界のテクノロジースタートアップに投資する個人投資家でもある。シリーズ累計91万部突破のベストセラー『頭に来てもアホとは戦うな!』など著書多数。



