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ジェイソン・パーディー氏は9月に手に入れた超薄型スマートフォン「iPhone Air(アイフォーン・エア)」を好きになりたかった。
アップルの本社がある米カリフォルニア州クパチーノで育ち、後に同社のシニア製品マネジャーになったパーディー氏は、テック各社の斬新な製品デザインを眺めるのが好きだと語る。そこでAirの発売日にアップル直営店で購入する予約をした。
だが1カ月もたたないうちに、同氏はそれを返品した。
スピーカーフォンでの通話や音楽を聴くのに使いづらさを感じた。10月初めの自身の結婚式で撮影した写真は、兄が新型「iPhone 17」シリーズの一つ「Pro(プロ)」で撮影したものと比べて明らかに品質が悪かった。
「性能がまだ完璧ではなかった。全体としてさまざまな機能を犠牲にしている」とパーディー氏は話す。Airは手にした感触が優れており、友人らの受けは良かったものの、メインの端末としては十分機能しなかったという。
アップル史上最薄モデルとうたわれているAirだが、ある消費者調査では、iPhone 17シリーズを発売後数週以内に購入した人のうちAirを選択したのは10人に1人だった。一部ユーザーがオンライン上で不満を述べているのは、Airのカメラ性能の低さや音質、バッテリー駆動時間、価格についてだ。同シリーズの他のモデルは最大3週間の入荷待ちだが、Airはアップルのウェブサイトによるとすぐに入手可能だ。
アップルは発売後ほどなくしてAirの生産体制を縮小する措置を講じたと、同社のサプライチェーン(供給網)に詳しい複数の関係者は述べている。
アップルの業績が販売好調のiPhone 17シリーズのおかげで年末商戦を含む10-12月期(2026年9月期の第1四半期)に大幅増収の見込みとなる中で、Airに対する消費者の反応がさえないことは唯一の悪材料だ。このことはアップルが主力製品の刷新を巡って直面する課題を表しており、同社の次世代フォームファクター(物理的な仕様や規格)となる折りたたみ式iPhoneが消費者の心に響くかどうかに疑問を投げかけている。
アンドロイド搭載スマホのメーカーはすでに折りたたみ式モデルを販売している。だが、高価格と斬新な形状が妨げとなり、今のところニッチな製品にとどまっている。







